📑 在留資格・法律
育成就労制度とは — 技能実習はこう変わる
2027年4月スタート。いま実習中の人が知っておくべきこと
📖 8分で読める📅 2026-07-16
「技能実習がなくなるって、本当ですか?」
ミャンマー・ヤンゴン出身のテッさん(23歳)は、茨城の食品加工工場で技能実習2号として働いています。2026年のある夜、同郷の仲間のグループチャットに、こんなメッセージが流れてきました。
「技能実習制度が廃止されるらしい」「実習生はみんな帰国させられるって聞いた」
テッさんは実習2年目。あと1年で3号に進むか、特定技能に切り替えるか、考え始めたところでした。それなのに、制度そのものがなくなる? 自分はどうなるのか。送出機関に払った費用も、まだ返し終わっていません。その夜は眠れませんでした。
翌週、監理団体の担当者に思い切って聞いてみました。返ってきた答えは、チャットの噂とはまったく違うものでした。
「制度は『育成就労』という新しい制度に変わります。でも、いま実習中の人はそのまま実習を続けられますよ。それに新しい制度は、働く側に有利な変更が多いんです。」
技能実習制度は、2027年4月1日に「育成就労制度」へ生まれ変わります。これはすでに法律と政令で確定している予定です。「全員帰国」はデマです。そして新制度では、これまで技能実習生を最も苦しめてきた「原則転職できない」というルールが、大きく変わります。
何がどう変わるのか。いま実習中の人はどうすればいいのか。正確な情報をFAQ形式でまとめました。
以下は、出入国在留管理庁が公表している法律・政令・Q&Aにもとづく情報です(2026年6月時点)。細かい数字は分野ごとに違いがあるため、自分の分野の正確な条件は、最後に紹介する相談窓口で確認してください。
❓ よくある質問
Q.育成就労制度って何ですか?技能実習と何が違うのですか?
A.技能実習に代わる新しい在留資格・制度で、2027年4月1日にスタートします(2025年9月に政令で施行日が確定済み)。一番大きな違いは「目的」です。技能実習は「学んだ技能を母国に持ち帰る国際貢献」が建前でしたが、育成就労は「3年間で特定技能1号レベルの人材に育て、日本の人手不足分野で働き続けてもらう」ことが正式な目的になりました。つまり、最初から「日本でキャリアを積む」前提の制度です。
Q.いま技能実習中の私は、どうなりますか?帰国させられますか?
A.帰国させられることはありません。2027年4月1日の時点で在留中の技能実習生は、いまの実習計画にもとづいて技能実習をそのまま続けられます(法律の経過措置で決まっています)。技能実習2号から3号への移行も一定の範囲で認められます(3号に進むには、2027年4月1日時点で2号の活動を1年以上行っていることなどの条件があります)。「全員帰国」「強制的に新制度へ移される」といったSNSの噂は誤りです。
Q.「転職できるようになる」と聞きました。本当ですか?
A.本当です。これが最大の変化です。技能実習では転職(転籍)は原則できませんでしたが、育成就労では2つのルートが認められます。①暴力・ハラスメント・賃金不払いなど「やむを得ない事情」がある場合の転籍——これは従来より範囲が広がり、手続きも柔軟になります。②自分の意思での転籍——同じ業務区分内で、(a)同じ会社で1〜2年を超えて働いた(期間は分野ごとに設定)、(b)技能検定基礎級などの試験に合格、(c)分野ごとに決められた日本語試験(A1〜A2相当)に合格、(d)転籍先が法令を守る優良な会社、という条件を満たせば可能になります。
Q.日本語の要件ができると聞いて不安です。どのくらいのレベルですか?
A.段階的な要件です。①就労開始前:日本語能力A1相当以上の試験(JLPT N5など)に合格するか、認定日本語教育機関の講習を100時間以上受講する。②本人意向で転籍するとき:分野ごとに設定されたA1〜A2相当の試験に合格。③3年後に特定技能1号へ移行するとき:A2相当以上(JLPT N4など)+技能検定3級などの技能試験に合格。最初から高いレベルは求められません。働きながら段階的に上げていく設計です。
A.即帰国ではありません。試験に不合格だった場合、最長1年間の在留継続(延長)が認められる方針が示されています。その間に再受験のチャンスがあります。また、育成就労から特定技能1号への移行には技能・日本語の両試験合格が必要です(技能実習からの移行にあった「試験免除」は、育成就労からは原則ありません)。3年間のうちに計画的に準備することが大切です。
Q.来日するときの借金(送出機関への手数料)はどうなりますか?
A.新制度では、本人が送出機関に支払う費用に上限ができます。上限は「受け入れ会社から支払われる月給(所定内月額)の2ヶ月分」までで、それを超える費用は受け入れ会社か監理支援機関が負担するルールです。高額な借金を背負って来日し、辞めたくても辞められない——という技能実習時代の最大の問題に、正面から対策が入りました。
Q.困ったとき、誰に相談すればいいですか?監理団体はなくなるのですか?
A.監理団体は「監理支援機関」という新しい仕組みに変わります。許可制が厳しくなり、外部監査人の設置が必須になるなど、受け入れ会社から独立して実習生・育成就労外国人を守る役割が強化されます。また、外国人技能実習機構(OTIT)は「外国人育成就労機構」に改組され、転籍の支援や相談援助が正式な仕事に加わります。いま困っていることがある人は、下の相談窓口(母国語OK・無料)にいつでも連絡してください。
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