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求人票の読み方 — 「好条件」の裏に隠れたサインを見抜く
入社してから「話が違う」とならないために、応募前に確認する場所
📖 8分で読める📅 2026-07-30
「月給25万円」と書いてあったのに、その内訳を見て驚きました。基本給は18万円だったんです。
ベトナム・ホーチミン出身のフンさん(26歳)が、入社初月の給与明細を見て首をかしげたのは2024年の夏でした。求人サイトには確かに「月給25万円〜」と大きく書いてありました。それを信じて、いまの仕事を辞めて転職したのです。
会社に聞くと、こう説明されました。「25万円は、基本給18万円に『固定残業代7万円(45時間分)』を足した金額です。残業が45時間に届かなくても7万円は払いますが、25万円をもらうには45時間の残業が"込み"という前提なんですよ。」
固定残業——フンさんは、その言葉の意味を知りませんでした。求人票の小さな文字の中に、その説明は確かに書いてありました。でも日本語で書かれた条件を、応募前にそこまで読み込めていませんでした。
「だまされた」とまでは言えません。会社は嘘を書いたわけではないからです。ただ、25万円という数字には「毎月45時間の残業を前提にした金額」という意味が隠れていました。しかもボーナスや退職金は、25万円ではなく基本給18万円をもとに計算されることが多いのです。求人票の「読み方」を知らなかっただけで、フンさんは見込んでいた条件と実際の働き方が違うことに、入社してから気づきました。
求人票には、知っている人だけが気づく「サイン」があります。だまされないために、応募ボタンを押す前に、以下の場所を確認してください。
求人票は、法律で「労働条件を明示する書類」と決まっています(職業安定法)。つまり、大事な情報は必ずどこかに書いてあります。問題は「どこを・どう読むか」です。以下のチェックリストで、応募前に確認すべきポイントを押さえてください。
01.「月給」の内訳に「固定残業(みなし残業)」が含まれていないか
「月給25万円」と大きく書いてあっても、内訳に「固定残業代◯時間分を含む」と書かれていることがあります。固定残業代は、実際に残業したかどうかにかかわらず毎月固定で支払われるお金です(だから残業が少ない月でも、その分はもらえます)。ただし注意点が3つあります。①その金額をもらうには「◯時間分の残業が"込み"」という前提なので、長時間労働が当たり前になりやすい。②基本給が低くなり、基本給をもとに計算されるボーナス・退職金・残業の割増単価が目減りする。③固定残業時間を超えて働いた分は、別途追加で支払われなければなりません(払わないのは違法)。確認すべきは**「基本給はいくらか」「固定残業は何時間分か」「超過分は別途払われるか」**です。固定残業時間が月45時間を超える求人は、長時間労働が常態化しているサインです。
02.「経験不問」「未経験歓迎」の裏にある離職率を考える
「経験不問」「学歴不問」「誰でも活躍できる」——これ自体は外国人にとってありがたい条件です。ただし、常に大量募集している会社は「人がすぐ辞める=定着しない理由がある」可能性もあります。同じ会社が何ヶ月も同じ求人を出し続けていないか、口コミサイトで離職率や評判を確認するのが安全です。良い会社にも未経験歓迎はありますが、「なぜ人を集め続けているのか」を一度考えてください。
03.寮・社宅の「家賃」と「給与天引き額」を分けて確認する
「寮完備」「家賃補助あり」は魅力的ですが、**実際にいくら給与から引かれるか**を必ず確認してください。「寮費3万円」と書いてあっても、光熱費・備品費・送迎費が別に引かれ、手取りが想定より大幅に少なくなる例があります。また、退職時に「寮を出る費用」「違約金」を請求されるトラブルもあります。寮費の総額と、退職時の条件を、契約前に書面で確認しましょう。
04.「みなし」「裁量」「歩合」などの給与体系の言葉に注意する
「固定給」なら毎月決まった額がもらえますが、「歩合制」「インセンティブ」は成果次第で大きく変動します。「月収例35万円」のような表記は、トップ成績者の例であって平均ではないことが多いです。「最低保証はいくらか」「平均的な人はいくらか」を質問してください。「裁量労働制」は残業代の考え方が通常と異なるため、外国人が誤解しやすいポイントです。
05.社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)の加入記載があるか
正社員・フルタイムなら、社会保険への加入は会社の義務です。求人票に「社会保険完備」とあるか確認してください。記載がない、または「各自で国民健康保険に入ってください」と言われる場合、本来加入すべき社会保険に加入させていない違法な可能性があります。社会保険は将来の年金や、病気・ケガのときの保障につながる大切な制度です。
06.「試用期間」中の条件が本採用と違わないか
多くの会社に試用期間(3〜6ヶ月)があります。問題は、試用期間中の給与・待遇が本採用と大きく違わないかです。「試用期間中は時給が低い」「試用期間中は社会保険なし」という条件は、面接で必ず確認してください。また「試用期間後に正社員」と書いてあっても、自動で正社員になるとは限りません。本採用の条件をはっきりさせておきましょう。
07.在留資格・ビザのサポート体制が書かれているか
外国人が働く場合、その仕事内容が自分の在留資格で認められているかが重要です。求人に「ビザサポートあり」「特定技能受け入れ可」「在留資格変更サポート」などの記載があるか確認してください。記載がない場合は、応募時に「私の在留資格は◯◯ですが、この仕事はできますか」と必ず質問しましょう。在留資格に合わない仕事に就くと、更新できなくなるリスクがあります。
フンさんはその後、転職活動で求人票の「内訳」を必ず確認するようになりました。次の会社では「基本給22万円・固定残業なし・社会保険完備」を書面で確認してから入社し、求人票どおりの待遇で働いています。「最初から読み方を知っていれば」と話してくれました。求人票や契約内容に不安があるときは、ハローワークの外国人相談窓口や労働基準監督署(無料)に相談できます。グロジョブの求人は、給与の内訳・社会保険・在留資格対応を明記しています。