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日本の年金は「払い損」じゃない — 外国人のための年金のきほん
帰国しても無駄にならない。知れば見方が変わる制度です
📖 8分で読める📅 2026-07-27
「毎月こんなに引かれて、どうせ帰国するのに払い損だよ」
ブラジル・サンパウロ出身のカルロスさん(30歳)は、給与明細の「厚生年金」の欄を指さして、同僚にそう言いました。日本で働いて2年。毎月2万円以上が年金として引かれていきます。いつか母国に帰るつもりのカルロスさんにとって、それは「取られているだけのお金」に見えていました。
同じことを考えている外国人は、たくさんいます。「日本の年金なんて、外国人には関係ない」「どうせもらえない」——そんな声をよく聞きます。
でも、その同僚は静かにこう返しました。「俺の知り合い、仕事中の事故で半年働けなくなったとき、障害年金で生活できたよ。年金って、老後だけのものじゃないんだ。」
カルロスさんは知りませんでした。年金が、若いうちの「もしも」にも備える保険だということを。そして、帰国するときには「脱退一時金」としてお金を受け取れる仕組みがあることを。
日本の年金は、仕組みを知らないと「払い損」に見えます。でも知れば、見方が変わります。よくある疑問をFAQ形式で解説します。
年金は難しそうに見えますが、ポイントを押さえれば理解できます。「なぜ払うのか」「帰国したらどうなるのか」を、順番に見ていきましょう。数字は2026年度(令和8年度)のものです。
❓ よくある質問
A.はい。国籍に関係なく、日本に住む20歳以上60歳未満の人は、公的年金に加入する義務があります。会社員(フルタイム勤務)は「厚生年金」に加入し、保険料は給与から天引きされます。自営業や無職の人、学生は「国民年金」に加入します。これは法律で決められた義務で、外国人だから免除される、ということはありません。
Q.年金にはどんな種類があるのですか?保険料はいくらですか?
A.公的年金は2階建てです。1階が「国民年金(基礎年金)」、2階が会社員が上乗せで入る「厚生年金」。会社員は厚生年金に入ると自動的に国民年金にも入った扱いになります。【厚生年金】保険料率は給与の18.3%ですが、会社と本人で半分ずつ負担するので、本人の実質負担は約9.15%。給与から天引きされます。【国民年金】2026年度(令和8年度)は月額17,920円。自分で納めます。免除制度もあります(後述)。
A.そう思いがちですが、年金は老後のためだけのものではありません。年金は「老齢・障害・死亡」の3つに備える保険です。①病気やケガで障害が残って働けなくなったとき、加入期間中なら「障害年金」を受け取れます。②加入者が亡くなったとき、残された家族に「遺族年金」が支払われます。これらは若い人にも起こりうる「もしも」への備えです。さらに、帰国する人は「脱退一時金」として納めたお金の一部を受け取れます(次の質問で説明)。
A.日本を離れる外国人が、納めた年金保険料の一部を一時金として受け取れる制度です。請求できる条件は、①日本国籍がない、②年金の加入期間が6ヶ月以上ある、③日本に住所がなくなった、④老齢年金の受給資格(10年)を満たしていない、⑤資格を失ってから2年以内に請求する、です。2021年4月から、計算の上限が3年分から**5年分**に引き上げられました(特定技能で5年働く人が増えたため)。帰国前に必ず手続きを確認してください。
Q.脱退一時金をもらうと、何か注意点はありますか?
A.あります。脱退一時金を受け取ると、その計算のもとになった加入期間は「なかったもの」とされ、これまでの年金加入期間がリセットされます。将来また日本で働いて年金を受け取りたい場合、過去の期間が通算できなくなります。また、ドイツ・アメリカ・フィリピン・ブラジルなど「社会保障協定」を結んだ国の出身者は、日本の加入期間を母国の年金と通算できる選択肢もあります。「一時金をもらう」か「将来の年金につなげる」か、帰国前に慎重に判断してください。
A.国民年金には「免除・猶予」制度があります。収入が少ない・失業したなどの場合、申請すれば保険料の全額または一部が免除されたり、納付が猶予されたりします。学生には「学生納付特例」もあります。**外国人も申請できます**(日本年金機構は14言語で案内を出しています)。大切なのは、払えないからと「未納」のまま放置しないこと。免除を受けた期間は受給資格期間に算入され、障害年金などの保障も維持されますが、未納だと保障が受けられなくなる場合があります。
A.老齢年金は原則65歳から受け取れます。受給には「10年以上の加入期間」が必要です(2017年8月に25年から10年に短縮されました)。日本で10年以上働けば、帰国後でも将来日本の年金を受け取る権利が残ります。受け取りを65歳より早める(繰上げ・減額される)ことも、遅らせる(繰下げ・増額される)こともできます。自分の加入記録は「ねんきんネット」やマイナポータルで確認できます。
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