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年末調整の書き方 — 母国の家族を書けば、税金が戻る
「国外の扶養」を知らずに、毎年払いすぎている人がいます
📖 8分で読める📅 2026-09-07
同僚は同じ給料なのに、手取りが自分より多い。理由を聞いて驚きました。「母国の親を、扶養に入れてるからだよ」
フィリピン・イロイロ出身のグレースさん(29歳)は、日本で3年働いてきました。毎月、母国の両親に仕送りをしています。ある日、同じ会社で同じくらいの給料の同僚と話していて、手取り額が自分より明らかに多いことに気づきました。
理由を聞くと、その同僚はこう言いました。「年末調整で、母国の親を扶養親族として申告してるんだよ。仕送りしてるなら、グレースもできるはずだよ。」
グレースさんは、その制度をまったく知りませんでした。毎年、会社から渡される年末調整の書類に、扶養親族の欄を空欄のまま出していたのです。仕送りをしているのに、その分の税金の控除を受けていませんでした。3年間で、数十万円も多く税金を払っていた計算になりました。
グレースさんは翌年から、必要な書類(親族関係を証明する書類と、送金の記録)を揃えて申告しました。すると、年末調整で税金が戻ってきました。「知らないだけで、こんなに損していたなんて」と話してくれました。
年末調整は、正しく書けば税金が戻る制度です。特に、母国の家族を養っている外国人には大きな意味があります。書き方のポイントをチェックリストにまとめました。
年末調整は、会社が1年間の所得税を年末に精算する手続きです(払いすぎていれば戻り、足りなければ追加で引かれます)。会社員は原則これで確定申告が不要になります。控除を受けられる項目を「書き忘れない」ことが、損をしないコツです。以下を確認してください。
01.年末調整の3つの申告書を、空欄のまま出さない
年末(11〜12月頃)に、会社から主に3つの書類が配られます。①「扶養控除等(異動)申告書」(扶養家族を書く)、②「基礎控除・配偶者控除等申告書」(本人の基礎控除や配偶者を書く)、③「保険料控除申告書」(生命保険・地震保険などを書く)。これらを空欄や適当なまま出すと、受けられる控除を逃します。該当する欄は必ず記入してください。
02.【最重要】母国の家族(国外扶養親族)を扶養に入れられる
母国に住む親・配偶者・子などを経済的に養っている(仕送りしている)場合、その家族を「扶養親族」として申告でき、税金が安くなります。控除額は、一般の扶養親族(16歳以上)で1人38万円、19歳以上23歳未満は63万円、70歳以上は48万円(同居していない母国の親なら48万円)。複数人を扶養に入れれば、その分控除も増えます。仕送りをしているのに申告していない人は、毎年損をしています。
03.国外の家族には「親族関係書類」と「送金関係書類」が必要
国外の家族を扶養に入れるには、2種類の書類が必要です。①「親族関係書類」(戸籍や、外国政府が発行した出生証明書など+その親族のパスポートの写しなど、親族であることを証明するもの)、②「送金関係書類」(銀行の送金記録や、家族カードのクレジット明細など、実際に生活費を送っている事実を証明するもの)。外国語の書類には、日本語訳を添える必要があります。同じ家族に年3回以上送金している場合は、明細書+最初と最後の送金記録でまとめてもOKです。
04.【2023年から要注意】30歳以上70歳未満の親族は条件が厳しくなった
2023年(令和5年)分から、30歳以上70歳未満の国外の親族を扶養に入れるには、次のいずれかが必要になりました。(a)留学で母国に住所がなくなった人(留学ビザ等の書類も必要)、(b)障害がある人、(c)その年に38万円以上の生活費を送金している人。つまり、働き盛りの母国の兄弟などを扶養に入れる場合、年38万円以上の送金記録が要ります。一方、16歳以上30歳未満や70歳以上の親族なら、この追加条件はありません(親族関係書類+送金関係書類でOK)。
05.扶養に入れる家族の「収入」にも条件がある
扶養親族にできるのは、その家族自身の年間の合計所得が58万円以下(給与収入なら年123万円以下が目安。2025年分から48万円→58万円に引き上げ)の場合です。母国に住む家族で日本での収入がない場合は、通常この条件を満たします。配偶者については「配偶者控除」「配偶者特別控除」という別の枠があり、本人(あなた)の所得が1,000万円以下であることなどの条件があります。
06.生命保険・地震保険・iDeCoなども控除になる
扶養以外にも、年末調整で申告できる控除があります。①生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料、②地震保険料、③iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金、④社会保険料(給与天引き以外に自分で払った国民年金・国民健康保険があれば)。保険会社から秋頃に届く「控除証明書」を、申告書に添付します。捨てずに保管しておいてください。
07.書き忘れても、後から確定申告で取り戻せる(5年間)
もし年末調整で控除を書き忘れても、諦めないでください。後から自分で「確定申告(還付申告)」をすれば、納めすぎた税金を取り戻せます。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間さかのぼって提出できます。つまり、過去の年に扶養の申告を忘れていた場合でも、5年以内ならさかのぼって還付を受けられる可能性があります。税務署や国税庁のウェブサイト(e-Tax)で手続きできます。
グレースさんは、両親の出生証明書(日本語訳つき)とパスポートの写し、そして毎月の送金記録を揃えて申告しました。年末調整で税金が戻り、さらに過去の分も還付申告でさかのぼって取り戻せました。「制度を知っているかどうかで、こんなに変わるんですね」と話してくれました。書き方や必要書類がわからないときは、会社の経理・総務担当か、税務署(無料・確定申告期は混雑)に相談できます。国税庁のウェブサイトには多言語の案内もあります。