🤝 職場の「謎」
有給休暇の取り方と断られた時の対処法
法律で守られた権利を、確実に使うために
📖 6分で読める📅 2026-07-02
「有給なんて取れる雰囲気じゃない」という言葉が頭の中を回っていました。
インドネシア・ジョグジャカルタ出身のデウィさん(24歳)は2024年の春、入社9ヶ月目のある夜、母国の友人からのメッセージを見ながらそう思っていました。「結婚式があるんだけど、来られる?」——デウィさんは長い間スマホを持ったまま、返信できませんでした。
有給を取りたいと上司に伝えたのは1度だけありました。「今は繁忙期だから」と言われ、そのままにしていました。次に言い出すタイミングが見つからないまま、4ヶ月が過ぎていました。
日本の法律では、有給休暇は会社が「与えなければならない」ものです(労働基準法第39条)。「取りにくい雰囲気」は法律上の問題には関係ありません。入社6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日、2年6ヶ月で12日——この権利は自動的に発生します。
でも実態として、「断られた」「言い出せない」という外国人労働者の声は多くあります。正しい手順を知れば、断られにくく・断られても対処できます。
有給休暇は労働基準法第39条で定められた「労働者の権利」です。会社は「時季変更権」(繁忙期への変更依頼)はありますが、「拒否権」はありません。以下のチェックリストで、正しい取り方と断られたときの対処法を確認してください。
01.有給が発生しているか確認する
労働基準法第39条により、**入社6ヶ月後に10日の有給休暇が発生**します(週30時間以上・週5日以上勤務の場合)。その後は勤続年数に応じて増加(1年6ヶ月後11日、2年6ヶ月後12日、3年6ヶ月後14日、4年6ヶ月後16日、5年6ヶ月後18日、6年6ヶ月以上で20日)。有給日数は給与明細や会社の就業規則、労働条件通知書で確認できます。
02.取得希望日の2週間〜1ヶ月前に申請する
申請の法的義務はありませんが、**2週間〜1ヶ月前の申請が職場のマナー**として定着しています。口頭で伝えた後、申請書(会社指定の書式)を提出する流れが一般的です。「〇月〇日に有給休暇を取得したいのですが、よろしいでしょうか」と伝えるだけでOKです。
03.「理由を聞かれた場合」は「私用のため」でOK
有給休暇の取得理由を会社に告げる義務はありません(労働基準法の規定)。「私用のため」「個人の用事のため」で十分です。もし「理由を詳しく教えてほしい」と言われた場合、それ自体が法律上問題のある要求です。
04.「今は繁忙期」と言われた場合:時季変更権を確認する
会社には「繁忙期を理由に取得時季を変更する権利」(時季変更権)があります。ただし「断る権利」ではなく「別の日への変更を求める権利」です。「この日はダメ」と言われたら、代替日を提示してもらい書面で確認してください。「いつならいいですか」と聞くことが大切です。
05.断られ続ける場合:記録して、外部に相談する
申請のたびに記録(日付・申請方法・上司の返答内容)を残してください。明確な理由なく繰り返し断られる場合は、**会社による有給取得妨害(労働基準法違反)**に該当する可能性があります。管轄の労働基準監督署か、よりそいホットラインに相談してください。匿名での相談も可能です。
06.年5日の「有給義務取得」制度を活用する
2019年4月より、年間10日以上の有給休暇が発生している労働者は、**会社が年5日を必ず取得させなければならない**義務があります(労働基準法第39条7項)。会社からの指定日で取得することもできます。年度末まで5日に満たない場合、会社側から「有給を使ってください」と言われることがあります——これは合法かつ正当な制度です。
07.退職時:取得しきれない有給は買い取り交渉ができる
退職時に残っている有給休暇は、本来「退職日までにすべて取得する」か「会社が同意すれば買い取り(1日分の賃金×残日数)」が可能です。退職を伝えると同時に有給消化の希望を伝えてください。退職前の有給取得申請を会社が拒否するのは法的に困難です。なお、残日数の買い取りは会社の同意が必要で、法律上の義務ではありません。
デウィさんはその後、このリストを参考にして1ヶ月前に申請を再提出しました。上司から「繁忙期の前後にしてほしい」と言われ、1週間調整して無事に取得できました。「最初から正しく言えばよかった」と話してくれました。有給取得に関するトラブルは、労働基準監督署(無料・匿名可)に相談できます。