「同じ仕事をしているのに、なぜ外国人の給料は低いのか?」—— この疑問は、外国人スタッフ本人だけでなく、制度を監査する行政機関からも問われるものです。 本記事では、在留資格別の法的義務を整理し、適正な賃金設計と昇給の仕組みを解説します。
在留資格別の平均賃金
日本人平均比較基準
318,300円専門・技術的分野技人国等
302,200円身分に基づく永住・定住等
257,000円外国人全体平均
232,600円技能実習最低水準
161,700円出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(2023年10月末時点)
日本人平均との差額
85,700円
外国人全体平均 vs 日本人平均(月額)
同一条件で比較しても約7%の純粋格差
7%の格差を可視化する
日本人
318,300円
外国人
296,000円
在留資格別の法的義務
育成就労
日本人と同等以上の報酬
監理団体(2027年4月以降は監理支援機関)の監査対象。最低賃金割れは即時取消し対象。
特定技能1号
日本人と同等以上の報酬
支援計画に報酬の明記が必要。年1回の届出で確認。
特定技能2号
日本人と同等以上の報酬
昇給実績がないと更新不許可のリスク。
技術・人文知識・国際業務
日本人と同等以上の報酬
新卒の初任給以上が目安。ポジションに応じた待遇が求められる。
給与以外の待遇チェックポイント
昇給設計の5ステップ
1
現状の賃金テーブルを整理
在留資格・職種・勤続年数ごとに現在の賃金を一覧化。日本人との差があるか確認。
2
同等性の基準を設定
「同じ職務・同じ経験年数の日本人」と比較する基準を明文化。
3
昇給ルールを策定
年1回の定期昇給、スキル評価による昇給、資格取得による昇給の3パターンを整備。
4
本人に母語で説明
賃金テーブルと昇給ルールを母語で説明。「なぜこの金額か」を理解してもらう。
5
年1回の見直しサイクル
最低賃金改定・業界水準・本人のスキル成長を踏まえて毎年見直す。
確認チェックリスト
同じ職務の日本人と外国人の賃金に差がないか確認した
最低賃金(地域別・特定最低賃金)を上回っていることを確認した
賃金テーブルを文書化し、本人に母語で説明した
昇給ルール(定期昇給・スキル昇給・資格昇給)を整備した
賞与の支給基準を外国人にも適用している
住居費の控除が適正額(実費の範囲内)であることを確認した
有給休暇の取得を妨げていないか確認した
社会保険・雇用保険に適正に加入している
帰国時の退職金・一時金の規定を確認した
年1回の賃金見直しサイクルを設けている
まとめ
- すべての就労資格で「日本人と同等以上の報酬」が法的義務
- 同一条件で比較しても約7%(85,700円/月)の格差が存在
- 賃金だけでなく、賞与・住居・有給など総合的な待遇設計が重要
- 昇給ルールを明文化し、母語で説明することが定着の鍵
- 年1回の見直しサイクルで最低賃金改定・市場変化に対応
※ 賃金データは厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」(2023年10月末時点)を基に構成。 法的義務の解釈は一般的な見解であり、個別のケースについては社会保険労務士等にご相談ください。