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外国人スタッフを受け入れた企業の多くが、入国から数ヶ月以内に「思っていたより大変だった」と感じます。しかし離職データを見ると、実は外国人スタッフの定着率は日本人より高い傾向があります。
出入国在留管理庁のデータによると、特定技能1号の累計離職率は22.4%(最新公表値・法務省 ISA 001449565)。一方、厚生労働省が発表した日本人新卒社員の3年以内離職率は30%以上です。外国人材は、適切な環境さえ整えれば、むしろ長く働いてくれる人材なのです。
では、なぜ「うまくいかない」と感じる企業が出るのでしょうか。多くの場合、問題は「受入れ直後のOJT設計」にあります。
2027年4月1日に施行される育成就労制度では、企業の育成責任が技能実習より明確に問われるようになります。
特に重要な変化が2点あります。
①育成就労計画の認定が義務化 外国人を受け入れる企業は、1人ひとりに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。「入れて、現場に放り込む」では認定を受けられなくなります。
②日本語教育の支援が義務に 入国時にN5相当の日本語力が求められ、3年間でN4(特定技能1号移行要件)まで伸ばすことが企業に求められます。企業は「A2目標講習」の受講機会を提供する義務を負います。
つまり、2027年以降に育成就労で人を受け入れる企業は、最初の3ヶ月から計画的なOJTと日本語教育を実施しないと、制度上の要件を満たせなくなります。
入国直後のスタッフに最初から難しい業務をアサインしても、本人も職場も疲弊します。最初の1ヶ月は「確実にできる業務を、確実にこなす経験」を積ませることが最優先です。
業務の難易度を3段階に分け、段階的にステップアップするスケジュールを最初に作っておく。順序を決めずに始めると、できない業務でつまずいた印象だけが本人に残る。
入国直後のスタッフはN5レベルの日本語力しかない場合がほとんどです。N5は「ひらがな・カタカナが読め、簡単な挨拶ができる」程度のレベルです。
この段階では、口頭説明より「実際にやって見せる」「写真や動画で手順を示す」ほうが圧倒的に効果的です。業務マニュアルを「やさしい日本語」と図解で作成しておくことが、後々の教育コストを大幅に削減します。
孤立が離職の最大の原因です。業務の相談先と、生活の相談先を最初に明確にしておくことが重要です。同じ国籍の先輩スタッフがいる場合は積極的にメンターとして頼る。
× 「なんとなく慣れるだろう」で放置する 最初の3ヶ月に意図的な育成を行わないと、本人は不安を抱えたまま業務をこなすだけになります。特に問題が表面化しないうちに離職を決意するケースが多く、「突然辞めた」という印象を受けることになります。
× 日本語のマニュアルをそのまま渡す 業務用語が多い日本語マニュアルは、N5〜N4レベルのスタッフには読解が困難です。写真・図解を多用した「現場特化型」の資料を作ることへの投資は、長期的に教育コストを下げます。
× キャリアパスを説明しない 「育成就労から特定技能1号、さらに特定技能2号へ」というキャリアパスを入社時に説明することは、本人のモチベーション維持に直結します。2024年の法改正で、外食業では「キャリアアッププランの作成・交付・説明」が義務化されました。他分野でも早めに整備しておきたい。
最初の3ヶ月に丁寧なOJTを実施した企業では、その後の定着率が大きく改善する。
受入れ直後の対応は手間に感じるかもしれませんが、1人の外国人スタッフの採用・入国にかかるコストは、送出機関手数料・渡航費・住居準備費などを合わせると数十万円規模になります。そのコストを回収するなら、入国後3ヶ月の育成設計ほど効くお金の使い道はない。
育成就労制度が本格施行される2027年4月、計画認定も日本語教育も間に合わせるには、仕組み作りは今しかない。