「突然辞めた」「理由がわからない」——外国人スタッフの離職に直面した企業担当者から、こうした声が多く聞かれます。 しかしデータを見ると、離職には明確なパターンと予兆があります。 本記事では、公的統計と業界調査から離職の実態を解き明かし、早期に気づくための6つのサインを紹介します。
離職率の現実 — 3つの数字
16.1%
特定技能1号の累計離職率
出入国在留管理庁(2023)
集計期間:2019年4月〜2022年11月末
53%
離職せずともモチベーションが低下した割合
ヒューマングローバルホールディングス等
共同調査(2021年)
44%
1年未満で離職意志を持った割合
ウィルテック等3社共同調査(2021年)
「離職した」+「したかったができなかった」計
特定技能1号の累計離職率16.1%は、日本人の平均離職率(約15%)とほぼ同水準です。 しかし注目すべきは「辞めていないが意欲が低下している」層が過半数を超えている点です。 離職率だけでは見えない「静かな離脱」が現場で進行しています。
離職後の行き先
帰国31.4%
国内転職30.3%
他資格変更21.5%
その他16.8%
離職者の約3割が帰国し、約3割が国内で転職しています。 つまり離職者の半数以上は日本に留まっており、「日本が嫌になった」のではなく「その職場が合わなかった」ケースが多いことがわかります。
在留資格別の離職リスク比較
モチベーション低下の要因
上司のマネジメント・指導への不満68%
業務内容のミスマッチ54%
給料が上がらない52%
職場の人間関係45%
外国人への差別・偏見38%
キャリアパスが見えない35%
出典:複数調査を統合(ウィルテック・ヒューマングローバル等、2021-2023年)
最大の要因は「上司のマネジメント・指導への不満」で68%。 給与よりも、日常のコミュニケーションや指導の質が離職意向を大きく左右します。 特に「わからないと言えない空気」「質問すると怒られる」という声が目立ちます。
早期離職の6つのサイン
😶
発言が減る
ミーティングや朝礼で急に無口になる。質問をしなくなる。
📱
スマホを頻繁に見る
勤務中にスマホチェックが増える。転職サイトを閲覧している可能性。
🕐
遅刻・早退が増える
以前は時間に正確だったのに、遅刻や早退が目立つようになる。
👥
同国人との会話が増える
日本語での会話を避け、母国語グループ内に閉じこもる傾向。
📉
作業品質の低下
ミスが増え、以前はできていた作業の精度が落ちる。
🚪
有給取得パターンの変化
面接のための半休や、まとまった有給取得の申請が出る。
まとめ
- 特定技能1号の離職率は16.1%だが、モチベーション低下層を含めると過半数が「離脱予備軍」
- 離職者の過半数は日本に留まっており、職場環境が原因
- 最大の要因は上司のマネジメント(68%)で、給与ではない
- 早期サインに気づく仕組み(1on1・定期面談)を整えることが最優先
※ 本記事のデータは出入国在留管理庁(2023年公表)、ヒューマングローバルホールディングス等共同調査(2021年)、 ウィルテック等3社共同調査(2021年)を基に構成しています。調査対象・時期により数値に幅があります。