🍱飲食料品製造業分野

食品工場の慢性的人手不足に終止符を——飲食料品製造業における外国人採用の実際

食品製造・加工分野で外国人材の活躍が広がっています。

育成就労特定技能1号特定技能2号公開 2026年6月
74,538
特定技能 在留外国人数
出入国在留管理庁 令和6年12月末 ✅確定値
133,500
受入見込数・特定技能(5年間)
2025年閣議決定 2026〜2030年度
61,400
受入見込数・育成就労(5年間)
2025年閣議決定 2026〜2030年度
INDUSTRY INDEX飲食料品製造業分野の採用特性インデックス
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採用難易度3/5
採用コスト2/5

低コストで始めやすい分野です

採用スピード3/5
定着率3/5

※ グロジョブ編集部が業界平均を基に作成した参考指標です。個社の状況により異なります。

目次

この分野について

飲食料品製造業は、私たちの食卓を支えるあらゆる「食品の製造・加工」を担う分野です。具体的には、水産加工(干物・練り製品・冷凍水産物など)、食肉加工(ハム・ソーセージ・焼肉用カット肉など)、惣菜製造(弁当・おにぎり・サラダなど)、パン・菓子製造、缶詰・瓶詰製造、飲料製造、調味料製造まで、対象となる業種は広い。

この分野は、特定技能制度において全分野で最も多くの外国人を受け入れている分野の一つです。その背景には、国内の食品製造業が慢性的な人手不足に悩まされていることがあります。コンビニ弁当、スーパーの惣菜、冷凍食品——これらの需要は年々拡大する一方で、地方の食品工場や水産加工場では日本人の応募が極端に少ない状況が続いています。

2027年4月に施行される育成就労制度でも、飲食料品製造業は対象17分野のひとつとして選ばれており、今後この分野で働く外国人材はさらに増える。「うちの工場でも外国人を雇えるのだろうか」と検討し始めた経営者・工場長の方に向けて、この分野のリアルな現状と実務のポイントを解説します。

現状データ

飲食料品製造業 外国人材の在留者数特定技能1号は全分野で最多(全体の約24%を占める)技能実習食品製造関連約5万人〜特定技能1号全分野で最多93,393人特定技能2号2,251人出典:出入国在留管理庁(令和7年12月末・速報値)/技能実習は推定値

飲食料品製造業における外国人材の受入れ状況は、以下のとおりです。

  • 技能実習生の在留者数:食品製造関連で約50,000人以上(推定)。水産練り製品製造、加熱性水産加工食品製造、非加熱性水産加工食品製造、食鳥処理加工業、惣菜製造業など、複数の職種にまたがって受け入れられています。なお、技能実習生の総数は全分野合計で45万6,618人(令和7年末時点)です
  • 特定技能1号の在留者数93,393人(出入国在留管理庁、令和7年12月末時点・速報値)。全分野で最多であり、特定技能1号全体(382,341人)の**約24%**を占めます。令和6年12月末の74,538人からさらに増加し、受入れが拡大しています
  • 特定技能2号の在留者数2,251人(令和7年12月末時点・速報値)。2号分野の中でも最多で、熟練技能者として長期就労する人材が急増しています
  • 主な送出国と割合:ベトナムが最多で全体の**約47%**を占め、次いでインドネシア、ミャンマーが増加中です。中国、ネパールからの受入れも一定数あります

特定技能1号の飲食料品製造業分野では、「飲食料品製造業技能測定試験」への合格が必要です。この試験は国内外で実施されており、海外からの直接採用ルートも整備されています。

今後の受入れ見込み

育成就労制度および特定技能制度における飲食料品製造業の受入れ見込み人数は、政府の分野別運用方針により以下のとおり設定されています。

  • 育成就労の受入れ見込み人数61,400人(2027年4月〜2028年度末・約2年間の上限)
  • 特定技能1号の受入れ見込み人数133,500人(2024年度〜2028年度末・5年間の上限)

育成就労と特定技能1号を合わせた分野全体の受入れ見込み数は194,900人であり、全分野のなかでもトップクラスの規模です。政府がこの分野における外国人材の必要性を強く認識していることを示しています。なお、育成就労は最長3年、特定技能1号は5年間と対象期間が異なるため、単純な数字の比較には注意が必要です。

出典:2026年1月23日閣議決定「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針」

育成就労制度は3年間の育成期間を経て特定技能1号への移行を前提としているため、育成就労から特定技能1号、さらに特定技能2号へとステップアップしていくキャリアパスが想定されています。つまり、育成就労で受け入れた外国人が長期戦力として定着する可能性がある分野です。

制度対応表

飲食料品製造業は、主要な外国人受入れ制度のすべてに対応しています。

制度対応備考
技能実習水産加工、食品製造等の職種で受入れ実績あり
育成就労2027年4月施行。技能実習からの移行措置あり
特定技能1号飲食料品製造業技能測定試験の合格が必要
特定技能2号熟練技能者として在留期間の上限なし。家族帯同も可能

特定技能2号への移行が認められている点は大きなポイントです。2号になると在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も認められます。優秀な外国人材に「ずっとこの工場で働いてもらう」ことが制度上可能になるということです。

この分野で働く外国人の国籍傾向

先に、はっきりさせておきます。これは「どの国の人が食品製造に向いているか」という話ではありません。国籍で向き不向きを決めるのは、採用の判断基準として不適切ですし、法令上も問題になりえます。配置も育成も、国籍ではなく本人の経験・日本語の習熟度・希望で決めてください。そのうえで、国によって事前にすり合わせておく実務上の配慮が変わることはある。そこだけ、具体的に押さえます。

飲食料品製造業で働く外国人は、ベトナム出身者が中心で、ミャンマー、インドネシア、中国、ネパールからの受入れもあります。

  • 送り出しの実績(人数の傾向) — ベトナムは日本への就労を希望する若年層が多く、送出機関のネットワークも充実しているため、食品製造分野への人材供給が安定しています。ミャンマーは近年急増、中国は技能実習時代から受入れ実績が長く、ネパールは飲食業界での就労経験者が多いといった背景があります。これは「どの国が優秀か」ではなく、送出体制や関連業務の経験の積み上がりといった構造の話として読んでください。
  • 宗教・食習慣への配慮 — イスラム教を信仰する方(インドネシアなどに多い)を受け入れるなら、豚肉やアルコールを扱う工程への配置について、採用前に本人と詰めておきます。扱う工程を事前に説明し本人が納得していれば、問題なく就労できるケースもある。配慮の度合いは人によって違い、出身国でひとくくりにはできません。
  • 語学と業務のかけ合わせ — 食品製造は衛生管理の記録や手順の理解が欠かせません。求められるのは「どの国の出身か」ではなく、本人がどこまで日本語を使えるか。来日前の学習歴も人によって差があるので、個別に確認し、伸ばす前提で受け入れます。

国籍の情報は「人数の傾向」と「配慮すべき実務」を知るためのもので、採用の合否や向き不向きを決めるためのものではありません。ここを取り違えると、国籍を理由にした差別的な取り扱いになり、法令上のリスクを抱えます。

意外と知られていないこの仕事の魅力

「食品工場の仕事」と聞くと、単純作業の繰り返しをイメージする方も多いかもしれません。しかし、実際に働いている外国人材からは、意外なほどポジティブな声が上がっています。

「自分が作ったものがお店に並ぶのが嬉しい」——コンビニ向けの弁当工場で働くベトナム人の女性は、近くのコンビニで自分が盛り付けた商品を見つけたとき、家族にビデオ通話で見せたそうです。日本の「食」に関わる仕事は、母国の家族にも伝わりやすく、誇りを持ちやすい仕事だといえます。

また、食品製造は技能の積み重ねが目に見えやすい分野でもあります。包丁の使い方、盛り付けの速度、品質チェックの精度——経験を積むほど「自分がうまくなっている」ことを実感しやすく、モチベーションの維持につながります。特に水産加工の分野では、魚のさばき方や切り身の技術が上達することで、特定技能試験の実技にも直結するため、日々の仕事がそのまま試験対策にもなります。

さらに、食品工場は空調が管理された室内環境であることが多く、屋外作業が中心の農業や建設業と比べて、天候に左右されない安定した就労環境が確保されている点も、外国人材にとっての魅力のひとつです。

現場でよくある課題と対処法

言語コミュニケーション

食品工場では、衛生管理上の指示を正確に伝える必要があります。「手を洗ってください」「この温度を超えたら報告してください」といった指示が正確に伝わらないと、食品事故につながるリスクがあります。

対処法:作業手順書を母国語に翻訳するだけでなく、写真やイラスト入りのビジュアルマニュアルを作成する工場が増えています。また、重要な衛生ルール(手洗いのタイミング、温度管理の基準値など)はピクトグラムで掲示し、言語に依存しない伝達手段を併用するのが効果的です。

宗教的配慮(ハラール等)

インドネシアやバングラデシュ出身のイスラム教徒の方を受け入れる場合、豚肉やアルコール原料を扱う工程への配置が問題になることがあります。また、ラマダン(断食月)の期間中は日中に食事を取らないため、体力面での配慮が必要なケースもあります。

対処法:採用前に、工場で扱う原材料と作業内容を具体的に説明し、本人の意思を確認する。ここを飛ばすと配置後にトラブルになる。礼拝の時間確保については、休憩時間を柔軟に調整している工場もあります。ある惣菜工場では、空き会議室を礼拝スペースとして開放したところ、インドネシア人スタッフの定着率が大幅に向上したという事例があります。

シフト制・早朝勤務への適応

食品工場は、出荷スケジュールに合わせた早朝勤務(午前4時〜5時始業など)やシフト制が一般的です。来日して間もない外国人にとって、生活リズムの大きな変化は体調面・精神面に影響しやすいポイントです。

対処法:入社後1〜2週間は日勤からスタートし、段階的に早朝シフトに移行するといった配慮が有効です。また、通勤手段の確保(自転車の貸与、送迎バスの運行など)も定着率に大きく影響します。地方の工場では公共交通機関が限られるため、通勤支援は必須の検討項目です。

冷蔵・冷凍環境での作業

水産加工や冷凍食品の製造では、0℃以下の環境で長時間作業するケースがあります。東南アジア出身の方にとって、寒冷環境は身体的にも心理的にも大きな負担になり得ます。

対処法:防寒着・防寒手袋の支給はもちろん、定期的な休憩と温かい飲み物の提供、寒冷環境での作業時間の上限設定などを就業規則に明記しておくと安心です。

一緒に働く日本人スタッフへの影響

外国人材の受入れに際して、「日本人スタッフとうまくやっていけるか」という不安を持つ経営者は少なくありません。しかし、実際に受け入れた工場からは、むしろ職場にプラスの変化が生まれたという声が多く聞かれます。

ある北海道の水産加工場では、ベトナム人技能実習生の受入れをきっかけに、それまで口頭だけで伝えていた作業手順を文書化・マニュアル化したところ、日本人パートスタッフからも「わかりやすくなった」と好評だったそうです。外国人に伝わるように工夫した結果、日本人にとっても働きやすい職場になるという副次的効果が生まれたわけです。

また、「外国人の若い子たちが一生懸命働いている姿を見て、自分たちも頑張ろうという気持ちになった」というベテラン日本人スタッフの声もあります。特に高齢化が進む地方の食品工場では、20代〜30代の外国人材が加わることで、職場全体の活力が回復するケースが報告されています。

一方で、導入初期にはコミュニケーションの負担が日本人スタッフに偏りがちです。受入れ前に社内説明会を開き、外国人材の文化的背景や基本的なコミュニケーション方法を共有しておくことで、現場の戸惑いを軽減できます。

この分野特有のルールと注意点

  • 転籍制限期間1年(2026年1月23日閣議決定)。飲食料品製造業は転籍制限期間が1年に設定されています。つまり、1年を過ぎると本人の意思で他社に移ることが制度上可能になります。なお、賃金未払い・ハラスメント等のやむを得ない事情がある場合は、制限期間に関わらず即時転籍が認められます
  • 技能測定試験:特定技能1号への移行には「飲食料品製造業技能測定試験」の合格が必要です。試験は学科試験と実技試験で構成され、食品衛生や安全管理に関する知識、実際の食品製造技能が問われます
  • HACCP対応の義務:食品衛生法の改正により、すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務づけられています。外国人材にもHACCPの基本的な考え方と自社の衛生管理計画を理解してもらう。教育記録の保存も求められるため、研修実施の記録は多言語で残す
  • 食品衛生責任者の配置:食品製造施設には食品衛生責任者の配置が必要です。外国人材が直接この資格を取得する必要はありませんが、食品衛生に関する社内教育は必須です
  • アレルゲン表示等への理解:特にアレルギー物質の表示や混入防止は、人命に関わる重要事項です。多言語での教育資料を整備し、理解度を確認するテストを実施している工場もあります

受入れを始めるには

飲食料品製造業で外国人材の受入れを考えるなら、まず以下のステップから始める。

  1. 自社の業務が対象に含まれるか確認する:飲食料品製造業の分野に該当するかどうか、具体的な業務内容と照らし合わせて確認します。食品の製造・加工が主たる業務であることが条件です
  2. 受入れルートを選ぶ:現時点で受入れを開始するなら技能実習または特定技能1号、2027年4月以降であれば育成就労制度も選択肢に入る。自社の状況と求める人材像に合わせて選ぶ
  3. 監理団体(育成就労施行後は「監理支援機関」に移行)に相談する:信頼できる監理支援機関を見つけられるかで、受入れの成否が決まる。食品製造分野での受入れ実績が豊富な機関を選ぶ
  4. 社内体制を整える:受入れ責任者の選任、生活支援体制(住居の確保、通勤手段など)の整備、既存スタッフへの説明を事前に行います
  5. 衛生管理教育の準備:HACCP対応を含む衛生管理教育の多言語資料を準備しておくと、受入れ後のスタートがスムーズになります

食品工場の人手不足は、もう一時的なものではない。だが外国人材は、足りない頭数を埋めるためだけの存在ではない。自分が盛り付けた弁当が店に並ぶ。魚をさばく手が速くなる。その実感が、定着とやる気を生む。来てくれた人が技能を積み、長く働ける現場をつくる。それができた工場から、ラインは安定し、強くなっていく。制度の全体像をまず把握したい方は、育成就労制度の基本解説記事もあわせてご覧ください。


※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。在留者数データの出典は出入国在留管理庁(令和7年12月末/2025年12月末時点の公表資料)です。育成就労法は2027年4月1日に施行されます。受入れ見込み人数や転籍制限期間等の数値は、分野別運用方針に基づくものであり、今後の政省令の整備や運用方針の見直しにより変更される場合があります。最新の情報は、出入国在留管理庁および厚生労働省の公式発表をご確認ください。

この分野のキャリアパス

この分野で利用可能な在留資格のステップです

育成就労
最長3年
技能を育成しながら就労
特定技能1号
最長5年
即戦力として就労
特定技能2号
期間制限なし
熟練技能・家族帯同可

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