🏗️建設分野

建設現場の人材危機に向き合う——外国人作業員の受入れ手順と安全管理の要点

建設需要の高まりに伴い、外国人材の受入れが拡大中です。

育成就労特定技能1号特定技能2号公開 2026年6月
38,578
特定技能 在留外国人数
出入国在留管理庁 令和6年12月末 ✅確定値
76,000
受入見込数・特定技能(5年間)
2025年閣議決定 2026〜2030年度
123,500
受入見込数・育成就労(5年間)
2025年閣議決定 2026〜2030年度
INDUSTRY INDEX建設分野の採用特性インデックス
読込中…
採用難易度4/5

採用競争が激しい分野です

採用コスト4/5

初期費用が高めになります

採用スピード2/5

時間がかかる傾向があります

定着率3/5

※ グロジョブ編集部が業界平均を基に作成した参考指標です。個社の状況により異なります。

目次

この分野について

建設業は、日本の社会インフラを支える基幹産業です。道路・橋梁・トンネルなどの土木工事から、住宅・ビル・商業施設の建築工事、さらには電気・ガス・水道などのライフライン・設備工事まで、私たちの生活を根底から支えています。

しかし、建設業界は深刻な人手不足に直面しています。国内の建設技能者は高齢化が進み、若年入職者の減少が続いています。国土交通省の推計では、2030年代には数十万人規模の担い手不足が見込まれており、外国人材の受入れは業界の存続に関わる重要課題となっています。

建設分野は、外国人材の受入れ制度において最も業務区分が多い分野の一つです。土木、建築、ライフライン・設備をはじめ、型枠施工、鉄筋施工、とび、内装仕上げ、左官、コンクリート圧送、塗装など、多岐にわたる業務区分が設定されています。自社の業務内容に合った区分で受入れができるかどうか、まずはここを確認するところから始まります。

現状データ

建設業 外国人材の在留者数(制度別)特定技能の中でも最大規模。2号化も他分野より早い技能実習建設約6〜7万人特定技能1号49,323人特定技能2号1,799人出典:出入国在留管理庁(令和7年12月末・速報値)/技能実習は推定値

建設分野における外国人材の受入れ状況は以下のとおりです。

  • 技能実習「建設」の在留者数:約60,000〜70,000人(推定)。技能実習生の総数は全分野合計で45万6,618人(出入国在留管理庁、令和7年末時点)
  • 特定技能1号「建設」の在留者数49,323人(出入国在留管理庁、令和7年12月末時点・速報値)。特定技能(1号・2号合計)の総数は全分野合計で390,296人(令和7年12月末時点・速報値、過去最多)
  • 特定技能2号「建設」の在留者数1,799人(令和7年12月末時点・速報値)。建設は2号取得が最も進んでいる分野の一つです
  • 合計:約11万〜12万人規模の外国人が建設現場で働いている

建設分野は、技能実習制度のなかでも受入れ人数が多い分野の一つであり、すでに多くの現場で外国人材が戦力として活躍しています。特定技能1号についても制度開始以降着実に人数が伸びており、技能実習から特定技能への移行も年々増加傾向にあります。特定技能2号の取得者も2024年に入り急増しており、長期就労の道が現実のものとなりつつあります。

今後の受入れ見込み

育成就労制度(2027年4月施行)および特定技能制度における建設分野の受入れ見込み人数は、以下のとおり設定されています。

  • 育成就労の受入れ見込み人数123,500人(2027年4月〜2028年度末・約2年間の上限)——全分野で最大
  • 特定技能1号の受入れ見込み人数76,000人(2024年度〜2028年度末・5年間の上限)

育成就労と特定技能1号を合わせた分野全体の受入れ見込み数は199,500人であり、全分野で最大級です。国としても建設分野への外国人材の受入れを大規模に進める方針であることがうかがえます。なお、育成就労は最長3年間、特定技能1号は5年間と対象期間が異なるため、単純な数字の比較には注意が必要です。

出典:2026年1月23日閣議決定「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針」

ただし、この人数は「上限」であり、実際にこの枠がすべて埋まるかどうかは、送出国側の事情や日本国内の受入れ体制の整備状況によります。早期に受入れ体制を整えた企業ほど、優秀な人材を確保しやすくなると考えられます。

制度対応表

在留資格 比較

3つの在留資格を比較する

育成就労特定技能1号特定技能2号
この分野で対応
在留期間最長3年最長5年(更新可)上限なし
転職2年の転籍制限あり自由自由
家族帯同不可不可
採用リードタイム6〜12ヶ月4〜6ヶ月既在日者なら早い
この業種の固有要件
CCUS登録必須(技能者登録)必須(技能者登録)必須
一人親方就業不可(直接雇用のみ)不可(直接雇用のみ)不可(直接雇用のみ)

建設分野は、外国人材の受入れに関する主要制度のすべてに対応しています。

制度対応備考
技能実習多数の職種・作業で対応。2027年4月以降は育成就労に移行
育成就労2027年4月施行。業務区分に基づき受入れ
特定技能1号建設分野特定技能評価試験+日本語試験に合格、または技能実習2号を良好に修了(試験免除ルート)
特定技能2号班長としての実務経験+技能検定1級等。建設は最も早く2号を導入した分野の一つ

特定技能2号まで対応しているという点は、建設分野の大きな特徴です。2号を取得すれば在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も可能になります。つまり、外国人材にとって「建設業で長く日本で働き続ける」というキャリアパスが制度上用意されているということです。

この分野で働く外国人の国籍傾向

先に、はっきりさせておきます。これは「どの国の人が建設に向いているか」という話ではありません。国籍で向き不向きを決めるのは、採用の判断基準として不適切ですし、法令上も問題になりえます。配置も育成も、国籍ではなく本人の経験・技能・日本語の習熟度・希望で決めてください。そのうえで、国によって事前にすり合わせておく実務上の配慮が変わることはある。そこだけ、具体的に押さえます。

建設で働く外国人材の主な出身国は以下のとおりです。

  • ベトナム:最も人数が多く、建設分野全体の過半数を占めるとされます。母国でも建設業に従事していた経験者が一定数います。なお、特定技能2号取得者の約65%がベトナム人であり、長期就労へ進む人が多い分野です。
  • 中国:以前は最大の送出国でしたが、近年は中国国内の経済成長に伴い減少傾向です。技術力の高い経験者が来日するケースもあります。
  • インドネシア:近年急増している送出国の一つです。イスラム教徒が多いため、礼拝時間や食事(ハラール)への配慮が必要になることがあります。
  • フィリピン:英語が堪能な方が多く、コミュニケーション面で強みになる場面があります。

ここで挙げた人数の傾向は「どの国が優秀か」ではなく、送出体制や日本への送出実績の積み上がりといった構造の話として読んでください。宗教・食習慣への配慮(礼拝時間・ハラール等)は出身国でひとくくりにはできず、配慮の度合いは人によって違うので、採用前に本人と詰めておきます。語学も「どの国の出身か」ではなく、本人がどこまで日本語を使えるかを個別に確認し、伸ばす前提で受け入れます。

定着の面では、同郷の仲間が職場にいると孤立を防ぎやすいという実務上の傾向はあります。ある中小建設会社の社長は「最初はベトナム人を3人受け入れたが、彼らが母国の後輩に声をかけてくれて、今では10人のベトナム人スタッフがいる。同じ国の仲間がいることで定着率も上がった」と話しています。送出国を分散させるか集中させるかは、現場の規模や管理体制によって判断が分かれるところです。ただしこれも、国籍を採用の合否や向き不向きの基準にしてよいという話ではありません。国籍を理由にした差別的な取り扱いは、法令上のリスクを抱えます。

意外と知られていないこの仕事の魅力

建設業に対して「きつい・汚い・危険」というイメージを持つ方は少なくありません。しかし、外国人材の視点から見ると、建設業には意外な魅力があります。

「ものづくり」の手応えがある。自分が携わった建物や構造物が形として残ることは、大きなやりがいにつながります。あるインドネシア出身の技能実習生は「自分が型枠を組んだビルの前を通るたびに誇らしい気持ちになる」と語っています。

技能が身につき、母国でも活かせる。建設技術は世界共通の需要があり、日本で習得した技能は帰国後のキャリアにも直結します。鉄筋施工や左官など、日本の高い品質基準で鍛えられた技能は、母国で高く評価されるケースが多いです。

収入面での魅力。建設業は他の受入れ分野と比較しても賃金水準が比較的高い傾向にあります。特定技能では月給制が求められるため、収入が安定しやすいという点も外国人材にとってはメリットです。

特定技能2号への道が開かれている。前述のとおり、建設分野は特定技能2号に最も早くから対応しており、長期就労・家族帯同のキャリアパスが制度として確立されています。「日本に腰を据えて働きたい」と考える外国人材にとって、建設業は有力な選択肢です。

現場でよくある課題と対処法

安全教育と言語の壁

建設現場は労災発生率が高い業種です。高所作業、重機の使用、屋外作業など、危険と隣り合わせの環境で働くため、安全教育は最も重要な課題です。

「危ない!」「止まれ!」「ヘルメット!」といった緊急時の指示が伝わらなければ、命に関わります。多言語の安全標識の設置、イラスト付きの作業手順書の整備、入場前の安全教育の徹底(母国語での説明資料の準備)が不可欠です。ある現場では、安全に関する重要ワード50語をベトナム語・日本語の対訳カードにして全員に配布し、毎朝の朝礼で1語ずつ確認する取り組みを行っています。

天候・季節への対応

建設現場は屋外作業が多く、夏の猛暑や冬の寒さへの対応が必要です。特に東南アジア出身の方は日本の冬の寒さに慣れていないことが多いため、防寒具の支給や体調管理への配慮が求められます。熱中症対策としては、こまめな休憩と水分補給のルールを明文化し、母国語でも説明しておくことが重要です。

元請・下請関係の理解

建設業特有の重層下請構造は、外国人材にとって理解しにくい仕組みです。「自分の雇用主は誰か」「現場の指示は誰から受けるのか」が曖昧になりがちなので、雇用関係と指揮命令系統を明確に説明しておく必要があります。

生活面のサポート

建設現場は所在地が変わることがあるため、宿舎の手配や通勤手段の確保も課題になります。地方の現場では公共交通機関が限られるため、社用車での送迎や寮の整備が必要になるケースもあります。

一緒に働く日本人スタッフへの影響

外国人材の受入れは、日本人スタッフにも少なからず影響を与えます。ただし、その影響はネガティブなものばかりではありません。

職場の活性化。ある地方の建設会社では「若い外国人スタッフが入ったことで、50代のベテラン職人たちが『教える』という役割を得て、以前より生き生きと働くようになった」という変化が生まれています。教えることで自分の技能を言語化する機会が増え、技能継承の面でもプラスに働いたそうです。

コミュニケーションの工夫が全体の生産性を上げる。外国人材に分かりやすく伝えるために作成した作業手順書やマニュアルが、結果的に日本人の新人教育にも活用されるようになったという事例は少なくありません。「伝わる指示の出し方」を職場全体で意識するようになることで、日本人同士のコミュニケーションも改善されるケースがあります。

懸念への対応も重要。一方で、「言葉が通じないのに一緒に危険な作業ができるのか」「自分たちの仕事が奪われるのではないか」といった不安を持つ日本人スタッフもいます。受入れ前に、なぜ外国人材を採用するのか、どのような役割を担ってもらうのかを丁寧に説明し、理解を得ておくことが大切です。

この分野特有のルールと注意点

受入れチェックリスト

雇用主として事前に確認すること

建設キャリアアップシステム(CCUS)への技能者登録
元請企業への「外国人建設就労者建設現場入場届出書」の提出
フルハーネス型安全帯の特別教育を含む安全衛生教育の実施
現場入場時の「作業員名簿」への記載(外国人であることの明示)
育成就労計画の認定(育成就労)または支援計画の策定(特定技能)
一人親方としての就業は不可(直接雇用のみ)の確認
現場での安全指示が理解できる日本語能力の確認(目安N3以上)
住居の確保と生活費支援体制の整備

建設分野には、他の分野にはない独自の要件がいくつかあります。受入れを検討する際には、以下の点を必ず確認してください。

  • 建設業法に基づく許可:外国人材を受け入れる企業は、建設業法に基づく建設業許可を有していることが前提となります
  • 国土交通省による受入れ計画の認定:建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定を受ける必要があります。これは建設分野独自の要件です
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録:受入れ企業(事業者)と外国人材(技能者)の両方がCCUSに登録する必要があります。現場への入退場記録が管理されます
  • JAC(建設技能人材機構)への加入:特定技能で受け入れる場合、JACの正会員団体への加入または賛助会員としての会費納入が必要です。JACの行動規範への同意も求められます
  • 月給制の要件:特定技能「建設」では、報酬を月給制で支払うことが求められています。日給月給制や時給制は認められません
  • 転籍制限期間2年(2026年1月23日閣議決定)。建設分野は、習熟に時間を要する分野として、工業製品製造業・造船・舶用工業・自動車整備・介護とともに転籍制限期間が2年に設定されています。なお、賃金未払い・ハラスメント等のやむを得ない事情がある場合は、制限期間に関わらず即時転籍が認められます
  • 安全衛生教育の実施:雇入れ時の安全衛生教育、作業内容変更時の教育、特別教育(高所作業、玉掛け、足場の組立て等)の実施が法令で義務付けられています

受入れを始めるには

採用フロー

入国までの流れ(海外採用・育成就労)

1求人・面接1〜2ヶ月2CCUS登録・計画認定2〜3ヶ月3在留資格申請1〜2ヶ月4入国・安全教育・配属完了
  1. 求人・面接1〜2ヶ月
  2. CCUS登録・計画認定2〜3ヶ月
  3. 在留資格申請1〜2ヶ月
  4. 入国・安全教育・配属完了

建設分野で外国人材の受入れを始めるには、以下のステップで進めていくのが一般的です。

  1. 自社の業務区分を確認する:建設分野の業務区分は多岐にわたります。自社の業務がどの区分に該当するかを確認してください
  2. 監理団体(育成就労施行後は「監理支援機関」に移行)を選定する:2027年4月の育成就労制度施行までは現行の「監理団体」が窓口で、施行後は「監理支援機関」のサポートを受けます。建設分野の実績がある機関を選ぶことが重要です
  3. 建設業許可・CCUSの確認:建設業許可を取得しているか、CCUSに登録済みかを確認します
  4. 国土交通省への受入れ計画の申請準備:建設分野独自の要件である受入れ計画の認定申請に必要な書類を準備します
  5. JACへの加入手続き:特定技能で受け入れる場合は、JACの会員団体への加入手続きを進めます
  6. 社内体制の整備:安全教育体制、生活支援体制、日本人スタッフへの説明など、受入れ環境を整えます

建設は他分野より手続きが多いのは確かです。ただ裏を返せば、それだけ受入れの仕組みが整っているということでもあります。そしてどれだけ手続きを踏んでも、最後に成否を分けるのは「来た人に続けてもらえるか」です。適正な賃金、安全な現場、技能を伸ばす機会——この3つを用意できる会社に人は残り、欠ければ育てた人材ほど先に出ていく。手続きに不安があるなら、まず監理支援機関やJACに相談するところから始めてください。数々の現場を見てきた私たちが、いちばん確かだと言い切れるのは、そこです。


※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。在留者数データの出典は出入国在留管理庁(令和7年12月末/2025年12月末時点の公表資料)です。育成就労制度は2027年4月1日に施行されます(2027年4月1日施行・確定済み)。建設分野の具体的な運用方針や業務区分の詳細については、国土交通省および出入国在留管理庁の最新の公表資料をご確認ください。制度の詳細は今後の政省令の整備により変更される場合があります。

この分野のキャリアパス

この分野で利用可能な在留資格のステップです

育成就労
最長3年
技能を育成しながら就労
特定技能1号
最長5年
即戦力として就労
特定技能2号
期間制限なし
熟練技能・家族帯同可

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