STAGE 3 | 在留資格別キャリア支援

育成就労から特定技能1号・2号、そして永住へ
——企業が伴走するキャリア支援の全体像と実務

育成就労制度は「3年で終わる制度」ではありません。特定技能1号・2号を経て永住申請まで繋がるキャリアルートが2027年4月から制度化されます。企業がこのルートを入社時から示し、各ステージで具体的なサポートを行うことが、最も効果的な長期定着戦略です。

01 | 全体像——育成就労から永住までの道筋

育成就労(2027年4月施行)は、旧技能実習制度と根本的に異なります。制度の目的が「労働力確保」から「特定技能への移行を前提とした人材育成」に変わりました。つまり企業は最初から「10年後もこの人に働いてもらう」というゴールから逆算して採用・育成する設計になっています。

育成就労〜永住 キャリアルートマップ
STAGE 1
育成就労
在留期間:最長3年
技能習得・日本語学習
評価試験・JLPT N4
監理支援機関と連携
→
STAGE 2
特定技能1号
在留期間:通算5年(最長6年)
同等待遇義務が適用
転籍自由(同一分野)
リーダー職経験を積む
→
STAGE 3
特定技能2号
在留期間:上限なし
家族帯同が可能
管理職・班長として勤務
対象11分野で取得可能(2026年6月時点)
→
⭐
永住者
就労制限なし
業種・職種の制限なし
在留期間:無制限
日本での定住確立
7,955人
令和7年12月末時点の特定技能2号取得者数(全分野合計・速報値)
2号取得者は急増していますが、特定技能1号全体と比べればまだ限られた人数です。
逆に言えば、「今から2号移行環境を整える企業は圧倒的な差別化ができる」ということでもあります。
飲食料品製造業:2,251人 建設業:1,799人 農業:1,282人 外食業:1,056人
なぜ取得者がこれほど少ないのか:2号移行には技能試験合格に加え、「複数の作業員を指導・監督しながら作業工程を管理する者」としての実務経験が必要です。この経験を積める環境、つまり班長・リーダー・副店長などの役職を与えている企業がまだ少ないのが主因です。

02 | 業種別・特定技能2号の要件一覧

2号の要件は分野によって異なります。「合格率」も分野によって大きく差があります(累計では外食業・製造業が5割前後、建設は約18%。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」令和7年6月末・速報値・受験者ベース・国内外込み)。

分野 実務経験の要件 試験・資格 日本語要件 合格率目安
外食業
取りやすい
副店長・サブマネージャー等として2年以上の実務経験 外食業特定技能2号技能測定試験 JLPT N3以上 約52%(受験者2,707人・累計)
製造業
中程度
国内製造業現場での3年以上の実務経験(班長レベル) 製造分野特定技能2号評価試験(3区分) 試験は日本語のみ(ルビなし) 約48%(受験者3,025人・累計)
建設
難易度高め
班長・職長等として複数の作業員を指導・監督する実務経験 建設分野特定技能2号評価試験 or 技能検定1級 特に規定なし(試験は日本語) 約18%(受験者7,603人・累計)
農業・漁業
中程度
農場・漁業現場での班長経験3年以上 農業・漁業特定技能2号技能試験 特に規定なし 農業 約38%(受験者4,575人)・漁業 約25%(受験者126人)※累計
介護
条件あり
介護現場での実務経験(介護福祉士国家試験受験に必要な実務経験を含む) 介護福祉士国家試験の合格(他分野の評価試験とは異なる国家資格ルート) 国家試験は日本語のみ(実質N3以上推奨) 約80%(2024年度国家試験)。※介護分野は、他分野のような2号評価試験ではなく、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ移行する長期就労ルートが中心

03 | 企業が今すぐ取り組む3つのアクション

01
逆算キャリアプランを入社時に渡す
育成就労で入社した日から「5年後に特定技能2号を取得するためのスケジュール」を書面で渡します。何年目に何をすればよいかを可視化することで、本人のモチベーションが持続します。キャリアアッププランの交付は特定技能の支援計画でも推奨されています。
02
リーダー職を与えて実務経験を作る
班長・チームリーダー・副店長——これらの役職を与えることが2号移行の必須条件です。小規模の現場でのリーダーでも要件を満たせます。役職手当(月5,000〜15,000円)を設けることで動機付けにもなります。
03
日本語学習を費用面でサポートする
2号試験は日本語のみで出題されルビもありません。N3〜N2レベルが実質的に必要です。アプリ費用補助・JLPT受験料の会社負担・合格時の一時金(例:N4合格5,000円・N3合格10,000円)を組み合わせた支援が有効です。

04 | 特定技能1号の在留期間:2025年10月改正のポイント

2025年10月施行の改正により、特定技能1号の在留管理が変更されました。企業として把握すべき主なポイントは以下です。

変更点 改正前 改正後(2025年10月〜) 企業への影響
在留期間の指定 申請ごとに1年・6ヶ月・4ヶ月 1度の申請で最長3年まで指定可能 更新頻度が減り管理コストが低下
通算在留上限の除外 5年通算(例外なし) 育児・療養期間を除外できる(最大6年まで延長可) 育児中の外国人材を慌てて2号移行させなくて済む
特定技能2号の在留期間 3年・1年・6ヶ月 2年が追加(3年・2年・1年・6ヶ月) 2年での更新が可能になり利便性向上

05 | 日本語学習ロードマップ——2号合格に必要なレベルを知る

06 | 永住申請——企業が伴走できること

育成就労で来日し、特定技能2号まで取得した外国人材が永住申請できるのは、多くのケースで8〜10年後です。この段階まで来ると、本人にとって「日本での生活」が人生の中心になっています。企業として永住申請をサポートすることは「この会社が自分の人生を応援してくれている」という最大のシグナルになります。

📋 永住申請サポートとして企業ができること
  • 在職証明書・在籍年数確認書類の発行(申請に必要な書類を迅速に発行する体制)
  • 源泉徴収票・所得証明書類の整備(独立した生計要件の証明に使用)
  • 申請手続きのための有給休暇(1〜2日)の付与
  • 行政書士・社会保険労務士への相談窓口の紹介(費用補助があれば理想)
  • 社会保険・税金の納付記録を常に整備しておく(申請審査で確認される)
  • 永住取得後も同じポジション・給与水準を継続して維持する(解雇・差別的扱いの禁止)

この記事のポイント

育成就労→特定技能1号→2号→永住は、7〜10年かけて実現するキャリアルートです。入社時からこのルートを示し、各ステージで具体的なサポートをする企業が、2号取得者7,955人という現状をさらに広げられます。

  • 2号取得者は7,955人まで増加——今から環境を整えればなお差別化になる
  • 「リーダー職を与える」ことが2号への必須条件であり、同時に最も効果的な定着施策
  • 2025年10月改正で育児・療養期間が通算上限から除外——柔軟な長期雇用が可能に
  • 永住申請のサポートが「この会社で一生働きたい」という最強の動機付けになる

本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。分野別の最新試験情報は各分野協議会サイト、在留資格の詳細は出入国在留管理庁をご確認ください。