育成就労 開始までのロードマップ〜全ステップ

公開 2026年6月
目次

育成就労 開始までのロードマップ〜全ステップ

育成就労制度は2027年4月1日(令和9年4月1日)に施行されます。「結局、うちは何をいつまでにやればいいのか」という声が、監理支援機関にも受入れ企業にも共通して寄せられています。本記事では、制度施行から外国人材の受入れ開始に至るまでの手続きの流れを、5つのステップに分けて時系列で整理しました。監理支援機関の担当者が企業への説明に活用できるよう、また受入れ企業の経営者・実務担当者が全体感をつかめるよう、具体的な手順とポイントをまとめています。

育成就労の受入れ開始までの全体像

育成就労制度のもとで外国人材を受入れるまでには、大きく以下の5つのステップを踏むことになります。

【全体フロー】

育成就労 受入れ開始までの5ステップ

技能実習制度での受入れ経験がある企業であれば、流れ自体は大きく変わりません。ただし、育成就労制度では「育成就労計画の認定」が新たな手続きとして加わるほか、監理支援機関の許可基準の厳格化など、いくつかの重要な変更点があります。

上記はあくまで目安であり、分野や送出国の状況、申請の混雑状況によって前後する可能性があります。全体として、準備開始から就労開始まで半年〜1年程度を見込んでおくのが現実的です。

STEP1:受入れ体制の整備〜社内準備と要件確認

受入れを検討する企業がまず取り組むべきは、自社が育成就労の受入れ要件を満たしているかの確認です。

欠格事由の確認

育成就労法第9条(認定の基準)では、育成就労計画の認定にあたって受入れ企業(育成就労実施者)が満たすべき基準が定められています。以下に該当する場合は受入れができない可能性があります。

  • 過去に技能実習制度・育成就労制度で不正行為を行い、一定期間を経過していない場合
  • 労働関係法令に関する重大な違反がある場合
  • 不法就労を助長する行為を行った場合

技能実習制度で受入れ実績のある企業は、過去の改善命令や指導の有無を改めて確認しておく。欠格事由は認定の入口でつまずく最大の要因になる。

受入れ人数枠の確認

育成就労制度においても、企業の常勤職員数に応じた受入れ人数枠が設けられます。技能実習制度と同様の考え方で、常勤職員数に対する比率で上限が設定されます。自社の常勤職員数を正確に把握し、何名まで受入れが可能かを確認しておく必要があります。

報酬・労働条件の確認

育成就労外国人の報酬は、日本人が従事する場合と同等額以上であることが求められます。これは法第9条の認定基準にも含まれる要件です。既存の賃金テーブルを確認し、同等の業務に従事する日本人従業員との均衡が取れているかを点検する。

社内体制の整備

  • 育成就労責任者の選任:育成就労の実施に関する責任者を社内で選任することが求められます(法第9条第1項第6号)
  • 指導員の配置:技能の指導を担当する者を配置することが求められます
  • 生活指導員の配置:外国人の日常生活面での支援を担当する者の配置も求められます

STEP2:監理支援機関の選定と契約

育成就労制度では、受入れ企業は原則として監理支援機関を通じて外国人材を受入れることになります(企業単独型を除く)。

監理支援機関の役割

監理支援機関は、法第23条に基づく許可を受けた機関であり、営利を目的としない法人であることが求められます(法第25条第1項第1号)。主に以下の役割を担うとされています。

  • 受入れ企業への監査・巡回指導
  • 育成就労計画の作成に関する指導・助言
  • 送出機関との連絡調整
  • 外国人からの相談対応
  • 転籍の支援

従来の監理団体から移行する機関については、許可基準がより厳格化されており、外部監査の導入なども定められています。

選定時のチェックポイント

監理支援機関を選定する際には、以下の観点を確認する。費用の安さだけで選ぶと、巡回や相談対応の手薄さが後で響く。

  • 対応分野の実績:自社が受入れを予定する分野での実績があるか
  • 送出国との関係:希望する送出国の送出機関と連携実績があるか
  • 監理費用の透明性:費用の内訳が明確に説明されるか
  • 企業への支援体制:巡回指導の頻度、相談窓口の対応力はどうか
  • 外国人への支援体制:母国語対応、生活支援の充実度はどうか

監理支援契約の締結

監理支援機関との間で監理支援契約を締結します。契約内容には、監理費用、巡回指導の頻度、相談対応の範囲などが含まれます。費用体系は機関によって異なるため、複数の機関から見積もりを取得して比較する。

STEP3:送出機関との連携と人材選定

送出国・送出機関の選定

育成就労制度では、二国間取決め(MOC)を締結した国の政府が認定した送出機関を通じて人材を受入れる仕組みとなっています。送出国の選定にあたっては、以下の要素を考慮することが考えられます。

  • 送出国と日本の間の二国間取決めの状況
  • 当該国からの送出実績と人材の質
  • 送出機関の手数料水準(育成就労制度では送出費用の上限が報酬月額の2か月分と定められています)
  • 言語・文化面での親和性

面接・選考プロセス

送出機関が候補者を募集・選抜した後、受入れ企業による面接・選考が行われます。近年はオンライン面接も広く活用されていますが、現地渡航による面接を行う場合もあります。

選考では、技能適性に加え、日本語能力(入国時にA1相当以上、すなわちJLPT N5相当以上が求められます)や、就労意欲・適応力なども確認することが重要です。

STEP4:育成就労計画の認定申請と在留資格手続き

育成就労計画の作成

法第8条に基づき、受入れ企業は外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、認定を受ける必要があります。計画には以下のような事項を記載することが求められます。

  • 育成就労の目標(到達すべき技能水準)
  • 育成就労の内容(従事する業務の具体的内容)
  • 育成期間・育成の方法
  • 指導体制(責任者・指導員の配置)
  • 報酬・労働条件
  • 生活支援の内容

認定審査

育成就労計画は、外国人育成就労機構(現・外国人技能実習機構から改組)に提出し、認定審査を受けます。審査では、法第9条に定められた認定基準への適合性が確認されます。

審査にかかる期間は、申請件数や審査体制によって変動が見込まれます。施行当初は申請が集中する可能性もあるため、余裕を持ったスケジュールを組む。

在留資格認定証明書の交付申請

育成就労計画の認定を受けた後、出入国在留管理庁に対して在留資格「育成就労」の在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行います(出入国管理及び難民認定法 別表第一の二)。

交付された認定証明書を送出国の外国人本人に送付し、本人が在外日本公館でビザ(査証)を申請する流れになります。

STEP5:入国後の講習・就労開始までの対応

入国後講習の実施

外国人が入国した後、就労開始前に入国後講習を実施することが求められます。講習内容としては以下が含まれます。

  • 日本語教育
  • 日本での生活に関する知識(交通ルール、ごみの分別、医療機関の利用方法など)
  • 法的権利に関する情報(労働関係法令の基礎、相談窓口の案内など)
  • 育成就労に関する制度の説明

講習期間中は就労させることができない点に注意が必要です。

雇用契約の発効と就労開始

入国後講習の修了後、雇用契約に基づく就労が開始されます。就労開始にあたっては、以下の届出・手続きが求められます。

  • 雇用保険・社会保険の資格取得手続き
  • 外国人雇用状況の届出(ハローワークへの届出)
  • 住居地の届出(外国人本人が市区町村へ届出)

就労開始後の義務

就労開始後も、受入れ企業には以下のような義務が課されます。

  • 育成就労計画に沿った育成の実施
  • 監理支援機関による監査・巡回指導の受入れ
  • 育成就労外国人の技能・日本語能力に関する定期的な確認
  • 変更届出等の各種届出義務の履行

特に、技能実習制度から育成就労制度への移行にあたっては、転籍が認められることへの対応が新たに加わります。外国人材の定着を図るには、適正な労働条件の維持と良好な職場環境の整備が、これまで以上に問われる。育成した人材が転籍で流出するか残るかは、ここで決まる。


※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。育成就労法は2027年4月1日に施行されます。具体的な手続きや要件の詳細は、2026年に公表された運用要領等で順次具体化されています。最新情報は出入国在留管理庁の公式発表をご確認ください。

次のステップ

求人を無料で掲載するか、育成就労の準備状況をチェックリストで確認しましょう。

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