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「育成就労制度で、うちの業種は受入れの対象になるのか?」「何人くらい受入れられるのか?」——これから外国人材の受入れを検討する企業にとって、まず確認すべきなのが対象分野と受入れ見込み数です。本記事では、育成就労制度で設定された17の対象分野を一覧で整理し、分野ごとの受入れ見込み数や特定技能との対応関係、転籍制限期間まで、実務で必要な情報をまとめました。
育成就労制度の対象となる産業分野は、育成就労法第2条第2項において「育成就労産業分野」として定義されています。これは、国内で人材を確保することが困難な状況にある産業分野のうち、外国人を育成就労させることが必要と認められるものとして、分野別運用方針により指定される分野です。
閣議決定「育成就労制度の対象分野等について」により、17分野が対象として決定されています。
この分野設定は、特定技能制度の対象分野と連動するように設計されており、育成就労で育成された人材が特定技能1号へスムーズに移行できる仕組みとなっています。従来の技能実習制度では92職種169作業と細分化されていましたが、育成就労制度では特定技能制度と整合する形で分野が再編されています。なお、「工業製品製造業」は、技能実習制度で別々の職種として扱われていた素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業などが統合された分野です。
各分野の詳細と受入れ見込み数は以下のとおりです。
各分野には、育成就労外国人の受入れ見込み数(上限の目安)が設定されています。これは、各分野の人材不足の状況等を踏まえて決定されるものであり、今後の経済状況や労働市場の変動に応じて見直される可能性があります。
以下は、公表されている情報に基づく受入れ見込み数の一覧です。
【分野別 受入れ見込み数(2026年1月23日閣議決定)】
以下の表は、育成就労制度(2027年4月〜2028年度末・約2年間の上限)と特定技能1号(2024年度〜2028年度末・5年間の上限)の受入れ見込み数を、育成就労の人数が多い順に示したものです。
| No. | 分野名 | 育成就労(約2年間) | 特定技能1号(5年間) |
|---|---|---|---|
| 1 | 建設 | 123,500人 | 76,000人 |
| 2 | 工業製品製造業 | 119,700人 | 199,500人 |
| 3 | 飲食料品製造業 | 61,400人 | 133,500人 |
| 4 | 介護 | 33,800人 | 126,900人 |
| 5 | 農業 | 26,300人 | 73,300人 |
| 6 | 造船・舶用工業 | 13,500人 | 23,400人 |
| 7 | 自動車整備 | 9,900人 | 9,400人 |
| 8 | ビルクリーニング | 7,300人 | 32,200人 |
| 9 | 物流倉庫 | 6,900人 | 11,400人 |
| 10 | 外食業 | 5,300人 | 50,000人 |
| 11 | 宿泊 | 5,200人 | 14,800人 |
| 12 | 資源循環 | 3,600人 | 900人 |
| 13 | リネンサプライ | 3,400人 | 4,300人 |
| 14 | 漁業 | 2,600人 | 14,800人 |
| 15 | 木材産業 | 2,200人 | 4,500人 |
| 16 | 鉄道 | 1,100人 | 2,900人 |
| 17 | 林業 | 500人 | 900人 |
| 合計 | 426,200人 | 805,700人 |
※航空分野と自動車運送業分野は、育成就労制度の対象外です(特定技能1号のみ対象)。 ※育成就労は最長3年、特定技能1号は5年間と対象期間が異なるため、単純な数字の比較には注意が必要です。 ※上記の数値は、2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針に基づく受入れ見込み数(上限の目安)です。今後の見直しにより変更される可能性があります。 出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について」
育成就労の受入れ見込み数が大きい分野としては、建設(123,500人)、工業製品製造業(119,700人)、飲食料品製造業(61,400人)などが上位に並んでおり、これらの分野で人材不足が深刻だということだ。
育成就労制度では、分野ごとに業務区分が設定され、その区分に応じた技能水準の達成が求められます。育成就労期間(最長3年)の中で段階的に技能を習得し、最終的には特定技能1号の技能水準に到達することが目標とされています。
介護分野
建設分野
飲食料品製造業分野
農業分野
各分野の詳細な業務区分や技能水準については、分野別運用方針(育成就労法施行規則に基づき策定)に定められています。
育成就労制度の最大の特徴の一つは、特定技能1号への移行を前提とした制度設計になっている点です。育成就労の各分野は、原則として特定技能制度の分野と対応しており、育成就労期間(最長3年)を修了し、所定の技能試験・日本語試験に合格することで、特定技能1号への在留資格変更が可能になります。
【育成就労から特定技能1号への主な移行対応表】
| 育成就労の分野 | 移行先:特定技能1号の分野 |
|---|---|
| 介護 | 介護 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング |
| 工業製品製造業 | 工業製品製造業 |
| 建設 | 建設 |
| 造船・舶用工業 | 造船・舶用工業 |
| 自動車整備 | 自動車整備 |
| 宿泊 | 宿泊 |
| 農業 | 農業 |
| 漁業 | 漁業 |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業 |
| 外食業 | 外食業 |
| 林業 | 林業 |
| 木材産業 | 木材産業 |
| リネンサプライ | リネンサプライ |
| 鉄道 | 鉄道 |
| 物流倉庫 | 物流倉庫 |
| 資源循環 | 資源循環 |
原則として同一分野への移行となりますが、業務区分の対応関係には注意が必要です。育成就労で従事していた業務区分と、特定技能1号で従事できる業務区分が一致している必要がある場合があります。
さらに、特定技能1号(最長5年)を経て、特定技能2号の対象分野であれば在留期間の上限のない就労や家族帯同も可能になるキャリアパスが開かれています。
育成就労制度では、一定の条件を満たした場合に同一分野内での転籍(本人の意思による職場移動)が認められます。ただし、すべての分野で一律ではなく、分野ごとに転籍が可能になるまでの制限期間が設定されます。
転籍制限期間は、分野の特性や育成に要する期間等を考慮して、1年または2年のいずれかが設定されています(2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針)。
転籍制限期間の経過に加えて、以下の要件を満たすことが転籍の条件とされています(法第9条の2)。
⚠️ 重要:「やむを得ない事情」がある場合の例外
上記の転籍制限(1〜2年)は、あくまで本人都合による転籍に適用されるものです。賃金未払い・パワハラ・セクハラ・暴力・虐待等のやむを得ない事情がある場合は、就労期間・試験要件に関わらず即時転籍が認められます。強制労働を疑わせるような状況での転籍制限は、法令違反となる可能性があります。
受入れ企業の方へ: 転籍制限期間が短い分野では、早期に転籍が発生する可能性があります。外国人材の定着を図るには、適正な賃金水準の確保と働きやすい職場環境の整備が欠かせない。転籍制限が切れた瞬間に人が抜ける職場は、待遇で見劣りしている。転籍は「起きるもの」として備えたうえで、「この職場で働き続けたい」と思ってもらえる環境づくりに取り組む。これが最も効果的な対策になる。
「うちの業種は17分野のどれに当てはまるのか」——初めて外国人雇用を検討する企業にとって、ここが最初のハードルになることがあります。
事業内容が多角的な企業では、複数の分野に該当する場合があります。たとえば、食品工場で製造と外食の両方を行っている場合、「飲食料品製造業」と「外食業」のいずれに該当するかは、外国人が主として従事する業務の内容によって判断されることになります。
17分野に含まれていない業種(例:小売業など)については、現時点では育成就労制度による受入れはできません。ただし、特定技能制度では対象分野の追加が段階的に行われてきた経緯があり、育成就労制度でも今後の見直しによって分野が追加される可能性はあります。
監理支援機関の担当者の方へ: 加盟企業から「うちは対象になるのか」という問い合わせが増えることが見込まれます。分野別運用方針の内容を正確に把握し、産業分類との対応表を手元に準備しておく。これがあるだけで企業訪問時の説明は格段に速くなる。
※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。育成就労法は2027年4月1日に施行されます。受入れ見込み数や分野別の運用方針は、今後の見直しにより変更される場合があります。最新の正確な情報は、出入国在留管理庁の公式発表をご確認ください。