旧・監理団体が育成就労へ移行する際の注意点まとめ

公開 2026年6月
目次

旧・監理団体が育成就労へ移行する際の注意点まとめ

育成就労法の成立により、技能実習制度は廃止され、監理団体は「監理支援機関」として新たな許可を取得しなければ事業を継続できなくなります。旧制度の監理団体の許可を持っていても、監理支援機関の許可は自動では引き継がれない。本記事は監理団体の事務局担当者に向けて、許可基準の変更点、経過措置期間中の並行管理、移行チェックリスト、移行が困難な場合の選択肢までを整理する。加盟企業への説明資料にもそのまま使える構成にした。

技能実習制度の廃止と監理団体に求められる移行対応

2024年6月に「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)が成立し、技能実習法は廃止されることが決まりました。施行日は2027年4月1日(令和9年4月1日)と確定しています。

移行対応の全体像を整理すると、以下のようになります。

  1. 現状把握:自団体が新制度の許可基準(法第25条)を満たせるかどうかの確認
  2. 許可申請の準備:不足する要件の充足に向けた体制整備
  3. 許可申請の実施:改正法附則第5条による施行日前申請の受付が2026年4月15日に始まっているため、早めに申請を実施
  4. 並行管理体制の構築:経過措置期間中、技能実習生と育成就労外国人の両方を管理できる体制の整備

施行日(2027年4月1日)から逆算して準備を組む。許可申請の準備には体制整備の時間がかかるため、現状把握は今すぐ着手したい。

監理支援機関の許可基準〜新たに求められる要件

法第23条から法第26条では、監理支援機関の許可・基準・欠格事由について規定されています。ここで重要なのは、旧制度の監理団体の許可を受けていても、監理支援機関としての許可が自動的に付与されるわけではないという点です。新たに許可申請を行い、新制度の基準を満たしていることの審査を受ける必要があります。

新たに求められる主な許可基準のポイントは、以下のとおりです。

外部監査の強化

育成就労制度では、監理支援機関に対する外部監査がより厳格化されています。外部監査人の独立性や監査の実効性について、より高い水準が求められます。

財務要件の見直し

監理支援機関の財産的基礎の安定性を確保するため、財務要件が強化されています。

受入れ企業数の上限・監理体制

監理支援機関が適切に監理支援業務を遂行できるよう、育成就労実施者の数に対する常勤役職員の数や、相談応需体制の充実が求められます。

欠格事由(法第26条)

法第26条では、欠格事由が定められています。過去に許可の取消しを受けた場合や、役員に一定の前科がある場合など、許可を受けられないケースが規定されています。旧制度下で行政処分を受けた経歴がある場合は、特に注意が必要です。

これらの基準を満たせるかどうか、早い段階で自団体の現状を点検しておく。点検の遅れがそのまま申請の遅れに直結する。

経過措置期間中の対応〜技能実習生と育成就労外国人の並行管理

改正法附則において、制度移行に伴う経過措置が設けられています。主な経過措置は以下のとおりです。

  • 改正法附則第9条:施行日前に認定を受けた技能実習計画に基づく技能実習については、なお従前の例によるものとされています。施行日時点で在留している技能実習生は、技能実習計画の期間が満了するまで従前の制度に基づく実習を継続できます。
  • 改正法附則第13条:技能実習法に基づく監理団体の許可を受けていた団体が育成就労制度下で監理支援機関の許可を受けた場合、技能実習法に基づく一般監理事業の許可を受けたものとみなされます。

これにより、施行後の一定期間は、技能実習生と育成就労外国人が組織内に並存する状態が生じることになります。この並行管理にあたっては、以下の点に注意が必要です。

届出義務・報告義務の違い

技能実習生に関する届出は旧制度の規定に基づき、育成就労外国人に関する届出は新制度の規定に基づいて行うことになります。届出先や届出期限、届出様式が異なる可能性があるため、管理台帳の整備や事務フローの見直しが求められます。

転籍対応

育成就労外国人については転籍の仕組みが導入されますが、経過措置中の技能実習生には従前の転籍制限が維持されます。両者の取り扱いを混同すると受入れ企業を巻き込んだトラブルになりかねない。企業への説明では、どちらの制度の対象者かを明示する。

移行に向けたチェックリスト

移行に向けて点検すべき事項を一覧にまとめました。自団体の状況に照らしてご確認ください。

組織・ガバナンス

  • 定款の目的事項に育成就労に関する事業が含まれているか
  • 役員構成が欠格事由(法第26条)に該当していないか
  • 外部監査人の選任・契約の見直しが必要か
  • 法人形態が規則第44条に定める法人に該当しているか

人材・相談体制

  • 育成就労制度に対応した相談員の配置計画があるか
  • 転籍支援に対応できる人材・体制が整っているか
  • 職員に対する新制度の研修・教育計画があるか

財務・経理

  • 新制度で求められる財産的基礎の要件を満たしているか
  • 監理支援費(法第28条)の算定根拠は適正に整理されているか

受入れ企業への対応

  • 加盟企業への新制度の説明・周知計画があるか
  • 転籍制度についての企業向けQ&Aを整備しているか

移行できない場合の選択肢

新制度の許可基準を満たすことが困難な場合でも、いくつかの選択肢が考えられます。

事業の廃止

受入れ企業への事前通知と他の監理支援機関への引継ぎ支援、経過措置期間中の技能実習生に対する管理業務の完了が必要です。

他の監理支援機関との統合・合併

単独では許可基準を満たせない場合でも、近隣の同業機関と統合・合併することで基準を充足できる場合があります。

受入れ企業への引継ぎ

いずれの選択肢を取る場合でも、加盟企業との丁寧なコミュニケーションが欠かせません。具体的な引継ぎスケジュールと対応策を示すことが信頼関係の維持につながります。


育成就労制度への移行は監理団体にとって大きな転換点だが、許可は申請して初めて得られる。改正法附則第5条により施行日前の許可申請ができるため、待つ理由はない。まず自団体が法第25条の基準を満たせるかを点検し、不足する要件から潰していく。

※本記事は2026年2月時点の公開情報に基づいて作成しています。最新情報は出入国在留管理庁の公式発表をご確認ください。

次のステップ

求人を無料で掲載するか、育成就労の準備状況をチェックリストで確認しましょう。

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