目次
この分野について
リネンサプライとは、ホテル・旅館・病院・介護施設・飲食店などに対して、シーツ、枕カバー、タオル、白衣、ユニフォームなどのリネン類(布製品)を貸し出し、使用済みのものを回収して洗濯・仕上げ・配送するサービス業です。いわば、宿泊業や医療・福祉の「裏方」を支える産業であり、日本の衛生水準を陰から支えている欠かせない存在です。
リネンサプライ業の市場は約5,000億円規模とされ、全国に事業所が分布しています。インバウンド需要の回復でホテル向けの需要が急拡大する一方、高齢化の進行で病院・介護施設向けの需要も堅調に増加しています。しかし、洗濯・仕上げ作業は体力を使う仕事でありながら待遇面での訴求力が弱く、若年層の応募が減少の一途をたどっています。業界全体の高齢化と人手不足は年々深刻さを増しており、人材確保は喫緊の経営課題となっています。
こうした状況を受けて、リネンサプライは特定技能1号・育成就労の新規追加分野として位置づけられました。リネンサプライは、特定技能1号・育成就労については新規追加分野です。ただし、技能実習では一定の受入れ実績があります(令和6年末2,971名)。実際の受入れ開始時期や試験・協議会手続は、分野別の最新情報を確認する必要があります。
現状データ
リネンサプライ分野は、特定技能1号・育成就労については新規追加分野です。技能実習では既に2,971名(令和6年末時点)の受入れ実績があり、業界に一定の受入れノウハウが蓄積されています。
- 技能実習の在留者数:2,971人(出入国在留管理庁、令和6年12月末時点)
- 特定技能1号の在留者数:新規追加分野(受入れ実績なし。実際の受入れ開始時期・手続は最新の分野別情報を確認)
- 主な送出国と傾向:受入れ実績がないため、データはありません。ただし、類似業種(ビルクリーニング等)の傾向から、ベトナム・インドネシア・ミャンマーなどが送出国の候補として想定されます。
技能実習制度を通じたリネンサプライ分野への受入れはこれまでも行われており、令和6年末時点で2,971名が在留しています。特定技能1号・育成就労によって、さらに大規模な受入れの道が開かれることになります。
今後の受入れ見込み
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育成就労の受入れ見込み人数:3,400人(5年間の上限)
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特定技能1号の受入れ見込み人数:4,300人(5年間の上限)
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特定技能2号:現時点では未定です。対象となるかどうかは、今後の制度設計次第です。
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政府が想定するタイムライン:
- 2027年4月:育成就労制度の施行。リネンサプライ分野での受入れが制度上可能に
- 2026年1月23日:特定技能1号・育成就労の分野別運用方針が閣議決定(実際の受入れ開始時期は手続整備状況を確認)
- 具体的な運用開始時期は、分野別運用方針や技能評価試験の整備状況による
重要な留意点:リネンサプライは完全新規分野であるため、受入れ条件・技能評価試験の内容・運用方針の詳細など、多くの事項が「今後発表」の段階にあります。本記事の内容は2026年5月時点で公開されている情報に基づく。今後の政省令の整備で内容が変わる。受入れ前に、必ず最新情報を確認すること。
制度対応表
リネンサプライ分野の制度対応状況は以下のとおりです。
| 制度 | 対応 | 備考 |
|---|---|---|
| 技能実習 | ○ | 受入れ実績あり(令和6年末2,971名) |
| 育成就労 | ○ | 2027年4月〜。17分野のひとつとして対象に含まれることが決定済み |
| 特定技能1号 | ○(新規追加分野) | 対象分野として追加済み。受入れ開始時期・試験・協議会手続は最新情報を確認 |
| 特定技能2号 | 未定 | 対象となるかどうかは今後の制度設計次第 |
注目ポイント:リネンサプライは、特定技能1号・育成就労の新規追加分野です。技能実習での受入れ実績(R6末2,971名)があるため、一定の受入れノウハウが業界内に蓄積されています。
この分野で働く外国人の国籍傾向
先に、はっきりさせておきます。これは「どの国の人がリネンサプライに向いているか」という話ではありません。国籍で向き不向きを決めるのは、採用の判断基準として不適切ですし、法令上も問題になりえます。配置も育成も、国籍ではなく本人の経験・日本語の習熟度・希望で決めてください。そのうえで、国によって事前にすり合わせておく実務上の配慮が変わることはある。そこだけ、具体的に押さえます。
リネンサプライ分野は2027年4月の育成就労制度開始で本格的な受入れが始まる新しい分野です。そのため現時点で「リネンサプライ分野の」国籍別実績はありません。関連分野(繊維業・クリーニング業・製造業)の実績から、今後中心になると見込まれる国を構造的に挙げます。
- 送り出しの実績(人数の傾向) — ベトナムは技能実習・特定技能の最大の送出国で、縫製や繊維関連の実習実績が豊富です。インドネシアは近年送り出しが急増、ミャンマーは技能実習生の受入れが増加傾向、フィリピンは宿泊・繊維関連の就労経験者が来日するケースがある、といった背景があります。これは「どの国が優秀か」ではなく、送出体制や関連業務の経験の積み上がりといった構造の話として読んでください。
- 宗教・食習慣への配慮 — イスラム教を信仰する方を受け入れるなら、礼拝時間の確保や食事への配慮を、採用前に本人と詰めておきます。配慮の度合いは人によって違い、出身国でひとくくりにはできません。
- 語学と業務のかけ合わせ — リネンサプライは特別な専門資格を要しない作業が中心ですが、工程の指示理解は必要です。求められるのは「どの国の出身か」ではなく、本人がどこまで日本語を使えるか。来日前の学習歴も人によって差があるので、個別に確認し、伸ばす前提で受け入れます。
幅広い国籍の人材が活躍できる分野です。国籍の情報は「人数の傾向」と「配慮すべき実務」を知るためのもので、採用の合否や向き不向きを決めるためのものではありません。国籍を理由にした差別的な取り扱いは、法令上のリスクを抱えます。
意外と知られていないこの仕事の魅力
「洗濯工場の仕事」と聞くと単調なイメージを持たれがちですが、リネンサプライの現場には意外な魅力があります。
未経験でも始めやすい。リネンサプライの主要業務である仕分け・洗濯・乾燥・プレス・折り畳み・配送は、特別な資格や長期の訓練を必要としません。基本的な作業は比較的短期間で習得でき、日本語力がまだ十分でない外国人材でも早い段階から戦力として活躍できる可能性があります。「まずは手を動かして覚えられる」仕事であることは、来日直後の外国人にとって大きな安心材料です。
安定した需要がある。ホテル・病院・介護施設は景気の変動に比較的左右されにくい業種であり、リネンの需要は年間を通じて安定しています。特にインバウンド需要の回復でホテル向けの需要は拡大基調にあり、将来的にも仕事がなくなるリスクが低い産業です。
全国どこでも働ける。リネンサプライの事業所は大都市だけでなく、地方都市にも広く分布しています。ホテルや病院がある地域にはリネンサプライの需要があるためです。外国人にとっても勤務地の選択肢が広く、生活費の安い地方での就労も可能です。
チームで働く一体感。リネン工場では、仕分け→洗濯→乾燥→プレス→折り畳み→梱包→配送という一連のラインをチームで分担して作業します。流れ作業のなかで自分の役割を果たし、チーム全体で1日の処理量を達成する達成感は、工場ワークならではの魅力です。
清潔な職場環境。リネンサプライの工場は衛生管理が厳しく求められるため、工場内は清潔に保たれています。医療機関向けのリネンを扱う場合は特に衛生基準が高く、整理整頓された環境で働けることは多くの労働者にとって好ましい条件です。
現場でよくある課題と対処法
リネンサプライ分野での外国人受入れはまだ始まっていないため、分野固有の課題データは蓄積されていません。しかし、業務内容の特性から以下のような課題が想定されます。類似業種(ビルクリーニング、食品製造等)での受入れ経験も参考にしています。
作業スピードへの適応
リネンサプライは納期に追われる仕事です。ホテルのチェックイン時間に間に合わせるため、あるいは病院の朝に清潔なリネンを届けるため、限られた時間内に大量のリネンを処理する必要があります。来日直後の外国人スタッフが求められるスピードに適応するまでには一定の時間がかかります。
対処法:入職後の最初の1〜2か月は「研修期間」として位置づけ、処理量のノルマを段階的に引き上げるプログラムを組みましょう。「最初はゆっくりでいいから正確に」と最初にはっきり伝える。焦らせない。スピードは正確さの後からついてくる。
洗剤・薬品の取り扱い
リネンの洗浄には業務用の洗剤や漂白剤、消毒剤を使用します。これらの化学薬品の取り扱いを誤ると、皮膚への損傷やアレルギー反応を引き起こすおそれがあります。
対処法:化学薬品の取り扱いに関する安全教育を母国語でも実施しましょう。SDS(安全データシート)の要点を多言語で簡潔にまとめた資料を作成し、薬品の保管場所に掲示します。保護手袋やゴーグルの着用を義務化する。薬品が肌についたときの応急処置も、先に教えておく。
高温多湿な作業環境
洗濯・乾燥・プレス工程では蒸気や熱が発生するため、工場内は高温多湿になりがちです。夏場は特に過酷な環境になり、熱中症のリスクが高まります。
対処法:大型扇風機やスポットクーラーの設置、こまめな水分補給の奨励、休憩時間の確保を徹底しましょう。WBGT値(暑さ指数)を測定し、基準を超えた場合は作業の中断や交替を行うルールを定めておきます。「体調が悪いときは申し出ていい」ということを母国語でも明確に伝えることが大切です。
単調作業による意欲低下
リネンの仕分け・折り畳みなどは、同じ動作の繰り返しになりがちです。長期間にわたって同じ作業を続けると、モチベーションの低下や精神的な疲労が蓄積する可能性があります。
対処法:作業ローテーション制度を導入し、複数の工程を経験させることで仕事に変化をつけましょう。「仕分けだけ」「折り畳みだけ」ではなく、洗濯機の操作やプレス機の操作も段階的に覚えてもらうことで、スキルアップの実感を持ってもらえます。また、「1時間あたりの処理枚数」などの目標を設定し、達成を称える仕組みを設ける。小さな手応えが、単調さを和らげる。
一緒に働く日本人スタッフへの影響
リネンサプライ分野での外国人受入れはこれからですが、他分野の先行事例を踏まえ、以下のような影響が想定されます。
人手不足の解消による労働環境の改善。リネンサプライ業界は慢性的な人手不足に悩んでおり、既存の日本人スタッフへの負荷が高い状態が続いています。外国人スタッフが加わることで、一人あたりの作業量が適正化され、残業時間の削減や休日の取得が改善されることが期待されます。「人が足りなくて休めない」という状況が改善されれば、日本人スタッフの離職防止にもつながります。
作業手順の見える化が進む。外国人スタッフに仕事を教えるためには、「暗黙のルール」を明文化する必要があります。「どの洗濯機にどの種類のリネンを入れるか」「プレス機の温度設定はいくつか」といった作業手順を文書化・マニュアル化する過程で、日本人スタッフの間でもやり方のばらつきが解消され、品質が安定するという副次的な効果が生まれます。
異文化交流による職場の活性化。リネン工場は同じメンバーで日々の作業をこなす職場であるため、閉鎖的な雰囲気になりがちです。異なる文化的背景を持つ外国人スタッフが加わることで、休憩時間の会話や食事の場での交流が生まれ、職場に新たな風が吹くことが期待されます。
受入れ初期は指導の負担がかかる。これは避けられない現実です。特にリネンサプライは業界として外国人受入れの経験がないため、指導方法を手探りで確立していく必要があります。指導担当者への負荷が集中しないよう、複数人でサポートする体制を組み、指導に対する手当やインセンティブを設けることで負担感を軽減しましょう。
この分野特有のルールと注意点
リネンサプライ分野は完全新規分野であるため、多くのルールが今後策定される段階にあります。現時点で把握できている情報と注意すべきポイントを整理します。
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技能評価試験の内容:現時点では未発表です。リネンの仕分け、洗濯機・乾燥機の操作、プレス・仕上げ、品質チェックなどに関する知識・技能が問われる試験になると想定されますが、具体的な試験科目・合格基準・実施時期はすべて今後発表される見込みです。
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転籍制限期間:育成就労制度における転籍制限期間は、分野ごとに設定されます。リネンサプライ分野の転籍制限期間は、1年(2026年1月23日閣議決定により確定)。
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特定技能への移行条件:育成就労から特定技能1号への移行には、技能評価試験の合格と日本語能力の要件を満たす必要がありますが、リネンサプライ分野の具体的な要件は今後策定される段階です。
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特定技能2号の扱い:対象となるかどうかは未定です。長期的な人材確保を考える企業は、今後の情報に注目してください。
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衛生管理に関する規制:リネンサプライ業では、特に医療機関向けのリネンの取り扱いにおいて厳格な衛生管理が求められます。感染症予防の観点から、使用済みリネンの取り扱い方法や消毒基準が定められており、外国人スタッフにもこれらの衛生基準を十分に教育する必要があります。
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労働安全衛生上の注意点:プレス機やローラーアイロンなどの高温機械を扱うため、やけどのリスクがあります。また、大型洗濯機への投入作業では巻き込まれ事故の防止が必要です。安全教育を多言語で実施し、機械周辺の注意喚起表示を外国語でも行う準備が求められます。
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業界としての受入れ体制の整備:リネンサプライ業の業界団体(一般社団法人日本リネンサプライ協会等)が、外国人受入れに向けた体制整備を進めていく見込みです。業界団体の動きを追い、発表があれば早めに拾う。
受入れを始めるには
リネンサプライ分野で外国人材の受入れを検討する場合、2027年4月の制度施行に向けて、以下のステップで準備を進めることをおすすめします。
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最新情報の継続的な収集:リネンサプライは完全新規分野であるため、受入れ条件・試験内容・運用方針の詳細が今後順次発表されます。出入国在留管理庁、厚生労働省、業界団体の発表を定期的にチェックし、情報を逃さないようにしましょう。
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業界団体への確認・相談:日本リネンサプライ協会など業界団体が外国人受入れに向けた準備を進めていくと考えられます。同業他社との情報交換や、業界団体主催の説明会・セミナーに積極的に参加しましょう。
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社内の受入れ体制の検討:制度の詳細が決まる前でもできる準備があります。作業マニュアルの整備、安全教育資料の多言語化、住居の確保、指導担当者の選定など、受入れ体制の基盤づくりを前倒しで進めておくと、制度開始後にスムーズに受入れを始められます。
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監理支援機関の情報収集:育成就労制度での受入れには監理支援機関を通す必要があります。リネンサプライ分野での受入れに対応する監理支援機関がどこになるのか、早めに情報を集めておきましょう。製造業やビルクリーニングなど類似分野での実績がある機関が候補になります。
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他分野の先行事例の研究:リネンサプライは外国人受入れが初めての分野ですが、業務内容が類似するビルクリーニングや食品製造分野では、すでに多くの受入れ実績があります。これらの分野の成功事例や課題を研究し、自社の受入れ計画に活かしましょう。
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日本人スタッフへの段階的な説明:外国人と一緒に働くことへの不安や戸惑いは、事前の情報提供で大幅に軽減できます。他分野の事例を紹介しながら、「なぜ外国人材の受入れが必要なのか」を丁寧に説明する場を設けましょう。
リネンサプライは、宿泊業・医療・福祉といった日本の重要インフラを裏方から支える産業です。人手不足が深刻化するなかで、外国人材の力を借りてサービスの質と供給能力を維持することは、社会的にも大きな意義があります。制度の詳細がまだ固まっていない今だからこそ、「準備を始めた企業」と「情報待ちの企業」の間には、制度開始後に大きな差が生まれます。できることから着手し、2027年のスタートに備えましょう。
> ご注意: 本記事の内容は2026年5月時点の公開情報に基づいています。最新の情報は出入国在留管理庁および厚生労働省の公式発表をご確認ください。
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